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コラム 瓦版一気読み(10月20日)

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●写真だけ? 産経トップの怪
  「今日が何の日か、知ってますか」。産経の1面トップは、記事も広告もなく、「本上まなみ」らしい(自信がないので「らしい」と付け加えておく)タレントの写真がデカデカと掲載されている。裏面にも「本上まなみ」の後ろ姿が・・・

  何かと思ったら「新聞広告の日」の特別面で、中を開くと2枚目以降は通常紙面。何のことはない。チラシの間に新聞を挟んでいるだけのことだった。

  で、産経の通常紙面の1面トップは<非拘束式 参院を通過>。公選法改正案を与党が参院本会議で単独可決したという、“通常”のニュースだった。

  が、その中身は「異常」と言わざるを得ない。公選法改正を巡る与野党の対決は、どっちもどっちのお粗末な政争だが、選挙制度の重要な変更を強引に推し進める与党の国会運営には、ハッキリ言って怒りを覚える。

  野党の無策ぶりにもほとほと愛想が尽きたが、「×」の数は与党が上回る。朝日、毎日、産経の社説も与党に厳しい論調となっている。

  このニュース、日経以外の5紙がトップで報じている。

  ◇厚生・建設両省が公団・公社住宅に特別養護老人ホームの併設を認める方針を固めた、と日経が報じている。都市部の特養ホーム不足を解消するための措置で、年内にも公団・公社住宅の1階部分などに特養ホームを運営する社会福祉法人に売却し、購入費用の4分の3を国と都道府県が助成するという。

  【IT】
  ●不安心理がもたらす悪循環
  米調査会社によれば、主要IT企業80社の7~9月期の営業利益は前年同期比33.3%増と好調を維持した。が、ニューヨーク市場の株価はこの1カ月半で1,300ドルも下げ、調整色を強めている(日経)。

  これは、増益率が4~6月期(47.0%)をピークに鈍化に転じたことに加え、原油高騰やユーロ安などの懸念材料が出てきたためだが、日経の編集委員は「長い目でみれば、米経済の軟着陸に向けた景気減速を軸に、世界経済が実力通りの成長軌道に戻る過程」と、極端な悲観論に否定的な見方を示している。

  日米欧の株安で台頭している「世界同時株安」の懸念も、不安心理によって増幅されている面が強いと指摘する。

  とはいえ、株価の先行きに対する見方は専門家の間でも分かれている。あなたはどう見ますか?

  ◇「放送と通信の融合」の起爆剤として期待されている東経110度CS(通信衛星)デジタル放送に向けた委託放送事業者認定の申請が19日締め切られ、計41団体(40社+1学校法人)が申請した(各紙)。12月中に審査結果が発表になり、放送開始は大半が来秋以降になるという。

  【トピック】
  ●「経済対策」のお粗末!
  IT推進を柱とする経済対策「日本新生のための新発展政策」が打ち出された。随所に「IT」をちりばめ、「事業規模11兆円」で市場の歓心を買おうとしたが、株価には織り込み済み。19日の平均株価は、再び年初来安値を更新した。

  新聞各紙の評価も、「まるで『ITづくし』だが、正体はばらまき」(東京)、「相も変わらぬ寄せ集め」(産経)、「変革のカギを握るはずの規制緩和の影が薄い」(日経)といった具合に惨憺たるものだ。

  が、とりまとめの中心的役割を果たした堺屋太一経企庁長官はめげない。渋る宮沢喜一蔵相に目もくれず、今年度1.0%成長の政府経済見通しを「1.5%」にさっさと上方修正。対策決定後の記者会見でも「来年度は2%成長という数字を狙いたい」と胸を張る(毎日)。 博覧強記、口八丁手八丁の「評論家」。筆者が抱いていた堺屋サンの印象だが、最近は政治家以上に政治家だな、と思えてきた。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/

2000/10/20 09:02
3/30(金)
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