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「IT講習券」事実上の復活?~政府の経済対策

  「ITの普及に向けて政府がやれる施策は全て盛り込まれた」(通産省幹部)。政府が19日発表した事業規模約11兆円に上る新たな経済対策「日本新生のための新発展政策」の中で、「最も重要な柱」となったITの推進施策について、政府内にはこんな評価が多い。

  IT国家戦略(E―JAPAN構想)の年内とりまとめ、IT基礎技能の普及に向けた国民運動の展開など、いずれもIT戦略会議などの場で既に決定済みの施策が整理されただけで、決して新味のある内容はない。だが、「来年以降に打ち出すIT施策に今後、頭を悩ますのではないか、と心配するほど細かいものまで盛り込まれており、中身の濃い内容だ」との自画自賛の声も聞こえてくる。

  “IT国民運動”は、堺屋太一経企庁長官が提唱した「IT講習券」構想が、予算のばらまき批判を受けて消え去った後、その代替案として関係省庁が半ば無理やりにひねり出した構想。本来なら、この経済対策の中には入らなかったかもしれない施策だ。そんな項目までもが目玉施策のひとつとしてきっちり収まっているのが、今回の経済対策の中にあるIT推進施策だ。IT国民運動については結局、約700万人を対象にしたIT技能・利用講習会、セミナーなどの展開や公共職業訓練の拡充がしっかり記された。

  ●通信コスト下げの筋道見えず
  また、インターネットで行政手続きができるようにする電子政府の早期実現方針や、電子商取引の利用拡大に向けた新たなルールづくりはもちろん。学校や駅、商店街などを超高速ネットワークで結ぶ地域イントラネット基盤整備事業などを通じた公衆インターネット拠点の設置推進や、学校向けインターネット利用料金の低廉化を促す方針なども盛り込まれた。確かに盛りだくさん。政府として、できる限りのIT施策が示されたのは間違いないのかもしれない。

  ただ、ITの普及を考える場合、最も重要な要素である通信料金の低廉化の道筋は、この施策でも依然、明確にはならなかった。通信会社の業績を左右する問題であり、政府が口出しすべきことでないことは事実だろうが、今後は、NTT(9432)をはじめとする通信会社に政府がどう働きかけていくかが、IT施策のポイントとなろう。

■URL
・IT推進に1兆円~経済対策の事業規模11兆円に
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/10/19/doc744.htm

(野崎英二)
2000/10/19 18:05
3/30(金)
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