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銀行業参入でソニーにも日銀の立ち入り「考査」か

  銀行業への異業種参入が解禁されたり、総合金融を視野に入れた金融持ち株会社が設立されていることに対応し、日銀は経営チェックの最も強力な手段である「考査」の対象を拡大する意向を強めている。子会社である銀行の経営に関して、重要な方針決定の機能を親会社が担うような場合、子会社だけの考査では実態把握が不十分になるというのが、その理由。既に、イトーヨーカ堂(8264)がコンビニ・バンクの、ソニー(6758)がインターネット・バンクの設立構想を表明しているが、今後、ソニー本社へ日銀の考査部隊が立ち入り調査を実施するケースが現実になるかもしれない。

  ●親会社もチェック必要~日銀総裁
  日銀の考査は、日銀法でよって定められた権限だ。この背景には、銀行間の最終的な資金のやり取りの帳尻は、「銀行の銀行」である日銀の当座預金口座を利用して決済していることがある。日銀に口座を開設することは、「一人前の銀行」の証明になるわけだが、口座の開設契約を結ぶに当たり、営業拠点への立ち入りを含む考査を通じて、経営状態のチェックを受けることが条件となるのだ。

  法律の建前は、本来「直接の当座預金取引先である子会社(銀行)」が考査の対象と規定。しかし、速水優日銀総裁は最近の講演で、「子会社にかかる業務運営やリスク管理に関する方針を決定するような機能を親会社が持つ場合、子会社への考査だけでは実態把握が不十分になる」と言明。「親会社にも、必要な範囲で立ち入りを含む調査を実施することが必要だ」との考えを示した。

  ●異業種参入のハードルに?
  日銀当局の立ち入りも、みずほホールディングス(8305、第一勧業、富士、日本興業銀行の共同持ち株会社)のような場合なら抵抗もないだろう。しかし、ソニーやヨーカ堂にとってはまったく未経験の事態。立ち入りを避けるためには、子会社の経営に大幅な独立性を与えるしかなさそう。事業会社が自ら銀行経営に乗り出す「夢」が急速にしぼむ可能性があり、異業種参入による金融業務の活性化は、当初の掛け声ほど容易ではない。

■URL
・日銀
http://www.boj.or.jp/
・情報通信技術革新の下での金融システム (10月5日の日銀総裁講演)
http://www.boj.or.jp/press/koen097.htm#04

(小倉豊)
2000/10/17 11:26
3/30(金)
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