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「消去法」でソフトバンク笠井氏か?~日債銀社長人事

  経営破たん後の国有化からようやく脱し、ソフトバンク(9984)、オリックス(8591)、東京海上火災保険(8751)を中核とする企業連合の傘下に入った日本債券信用銀行が、船出早々、苦境に陥っている。日銀OBの本間忠世社長が出張先の大阪市で謎の自死を遂げた後、後継選びが難航しているからだ。東京海上関係者は「ソフトバンク取締役の笠井和彦氏しかいない」と語るが、笠井氏本人は固辞の姿勢を崩しておらず、決着の時期は見えない。

  笠井氏は1959年に香川大学経済学部を卒業後、富士銀行(8317)に入行し、副頭取まで務めた。豪放磊落な人柄から行内の人望は高く、取引先やマスコミの受けも官僚肌の山本恵朗頭取より勝っていたようだ。富士銀関係者は「山本頭取と同じ東大出だったなら、トップレースは間違いなく笠井氏に軍配が上がったはず」と話す。

  98年には、富士銀が救済した安田信託銀行(8404)の会長に就任。経営再建に当たったが、孫正義氏に請われてソフトバンクに転じたことは金融界に驚きを与えた。

  本間氏の後継選びを実質的に取り仕切るのも笠井氏本人。ただ、「大手銀行経営者OBの中でトップレースに敗れ、不完全燃焼で組織を去った『同志』を中心に打診を続けているが、すべて断られている」(ソフトバンク関係者)という。

  日銀の内部からでさえ、本間氏の死の原因をめぐって「日債銀の貸し出し資産の中には、扱いに苦悩する案件があったはず」と疑念を呼んでいるのだから無理もない。後任を素早く決め切れずに世間の評価が落ちている日債銀の現状に、金融再生委員会首脳は「困ったことになった」と危機感を募らす。

  孫氏は表向き笠井氏の日債銀トップへの「転出」に難色を示すが「それは自社からトップを送り込むことによる『機関銀行化』の批判を恐れたポーズ。他に人が見つからず、当局が内々に笠井氏就任で頭を下げてくるのを待つ作戦では」(大蔵省)とみられている。


(小倉豊)
2000/09/29 14:43
3/30(金)
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