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コラム 瓦版一気読み(9月26日)

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●「カラ打ち」、90億円の無駄遣い?
  衛星を搭載しないでロケットを打ち上げることを「カラ打ち」というらしい。読売によれば、衛星打ち上げビジネスへの参入を目指す宇宙開発事業団が、「H2」の後継機でコスト削減を図った「H2A」の1号機を衛星抜きで打ち上げる方針を固めたという。

  「カラ打ち」の理由は、技術的に難しい問題が出てきたからで、とりあえず「純粋な試験目的だけで利用することにした」というが、「H2A」1機作るのにかかる費用は「約90億円」。事業団内にも「無駄遣いとの声が出ている」この「カラ打ち」、本記だけでは分かりにくい。解説を付けてきちんと論評すべきではないのかな。

  ◇国会議員の公設秘書に妻や子供など近親者を起用することについては、93年に国会で自粛の申し合わせが行われているが、毎日が調べたところ、衆参732議員のうち、少なくとも127人が身内を公設秘書にしていることが分かった。

  毎日は「秘書制度の見直し論議に影響を与えそうだ」と論評しているが、処方箋はひとつ。法律で縛るしかない。罰則でも設けないことには改まりそうにないからだ。

  ◇朝日も調査報道がトップを飾った。独自に新税を課そうとする都道府県が全体の7割近く(30以上)に上っていることが分かったという。

  こうした類の記事は、東京都が銀行に外形標準課税の導入を決めたあたりから各紙に掲載されており、記事自体に新味はない。「増税の前に歳出削減努力をしろ!」という朝日の反増税キャンペーンの端緒という位置付けで見た方が良さそうだ。

  ◇日経は年金の記事。厚生省が、企業年金制度に一定の年金給付を保証した上で、毎年の運用成績次第で年金を上積みする仕組みを2001年度にも認める方向で検討に入ったという。

  ◇シドニー五輪をトップに持ってきたのは産経と東京。陸上男女400メートルのジョンソンとフリーマンの外人勢の活躍がトップを飾った。

  【IT】
  ●IT時代の自由貿易協定
  日本とシンガポールの自由貿易協定(FTA)について検討してきた両国の産学官研究会が28日、これまでの検討結果をまとめた報告書を公表する。IT分野など幅広い分野での協力を盛り込んでいるのが特徴。昨日のNHKに続き、読売が最終案を経済面に掲載している。

  協定の名称は「日・シンガポール経済連携協定」。交渉は来年早々スタート、報告書通りの協定が締結されれば、日本とシンガポールの関係は経済分野の統合という形で深化していくはずである。

  ◇東南アジアの通信自由化に弾みがついている。タイ政府は、国営通信事業の民営化を今日決定。日経はこのニュースに引っかけて、通信市場の競争促進に力を入れる東南アジアの動きを国際2面で特集している。

  【トピック】
  ●ON決戦で10~12月期のGDPが0.2%アップ?
  昨日の『瓦版一気読み』からヒントを得たのだろうか。読売が、さくら証券チーフエコノミストの宅森昭吉氏の協力を得て、プロ野球日本シリーズでのON決戦の「経済効果」を試算。「2410億円プラスアルファ」、つまり10~12月期のGDPを0.2%押し上げる効果があると報じている。

  この試算、景気の楽観論者で知られる宅森氏が弾き出し、それを報じたのがアノ読売であるという点を割り引いてから読んだ方がいい。

  ◇大蔵省は25日、今年6月時点の国の債務残高が初めて500兆円を突破したと発表した(各紙)。400兆円の大台に乗ってからちょうど2年間で100兆円も急増。森政権はなおも「2兎を追う」政策を継続しようとしているので、この数字はドンドン膨らむ可能性がある。

  [メディア批評家 増山広朗]


2000/09/26 09:11
3/30(金)
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