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IT化に対応できない!~悠長な商法改正方針に産業界から不満の声

  「施行はどんなに早くとも2003年。IT革命の進展など急速な時代の流れに対応するという意味では、あまりに遅すぎはしないか」(経済団体幹部)。法制審議会(法相の諮問機関)はこのほど、2年後の2002年に召集される次々期通常国会に株式会社に関する商法の抜本改正案を提出する方針を決めたが、産業界からは「もっと急ぐべきだ」と不満の声が上がっている。

  持ち株会社を創設するための株式交換制度や会社分割法制の新設など、商法はこれまでも経済構造改革の観点から小刻みな改正が行われてきた。が、その整備状況は、IT革命の急速な進展などを背景に食うか食われるかの厳しい状況が強まる産業界にとって、「まだまだ不十分」というのが実情だった。

  ●ようやく重い腰を上げたが・・・
  こうした産業界の要望を踏まえ、「何かと時間がかかる」と揶揄され続けてきた法務当局もようやく重い腰を上げ、商法の抜本改正に積極的に取り組む姿勢を示したわけで、この180度転換を評価する声もある。だが、「2年後の抜本改正」という法務当局の基本方針は、裏を返せば、株式会社に関する商法の内容をこれからの2年間ほとんど変えない、改正は2年後まで待て、ということでもある。

  “足の速い”経済の流れのただ中にあり、「一日も早い商法の見直し」を熱望してきた産業界にとって、満足できる方針であろうはずがない。「見直しの重要性が高いものは、抜本改正から切り離し、どんどん前倒しして改正すべきだ」との声には切実な響きがある。特に、「重要性が高い」と産業界が受け止めているのがIT化への対応。現行の商法では、書面でしか認めていない株主総会の招集通知をインターネットでも行えるようにするなど、ネットを使った株主総会の運営を解禁するための迅速な法整備を求める声は強い。

  ●カギ握る産業新生会議
  政府の産業新生会議(首相の諮問機関)は、10月上旬に予定される第3回会合で、緊急性の高い経済構造改革項目について具体的な対応方針を示すことにしている。その中で、IT化に関しての商法改正前倒しなど、どこまで機動的な方針が打ち出せるか。法務省など関係省庁の柔軟な手腕に産業界の注目が集まっている。

■URL
・法務省民事局「今後の商法改正について」
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji27.htm

(野崎英二)
2000/09/12 12:01
3/30(金)
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