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熊谷組救済にウルトラC?~公的資金投入構想が浮上

  4,500億円に上る債権放棄を柱とする熊谷組(1861)の再建交渉に絡んで、公的資金を活用するウルトラC構想が急浮上している。自民党の渡辺喜美代議士らが、「産業再生新法」の素案として水面下で関係方面の瀬踏みを始めた模様だ。

  ●アイデアは日本総研?
  大蔵省と通産省は、「事業会社の再建に直接財政資金を投入することは、政治的にも極めて難しいはず」と、今のところ静観の構えだが、実はこの「素案」の出所が熊谷組のメーンバンクである住友銀行(5713)系の日本総合研究所だとされるだけに、ゼネコン問題の周辺に不透明感が漂い始めた。

  「素案」の内容は、表向きは、過重債務や余剰設備を抱えて経営不振にあえぐ企業の構造改革を支援することを目的に掲げている。具体的には、不振企業の債務や人員の削減、不良資産処理のための大幅な減資を断行することなどを前提に、「救済合併など、業界の整理・再編につながるような再建策が策定されれば、減資で弱体化した資本を公的支援で回復させる」(日銀筋)という内容。不良債権の大胆な処理の見返りとして、銀行に公的資金を資本注入した発想と極めて似ている。

  ●前田建設と竹中の名乗り待ちか
  ところで、現在、経済界や政界の注目を集めている熊谷組問題では、仮に住銀主導の債務削減が実現したとしても、その後の熊谷組の再建が可能かどうかに焦点が移っている。「単独での生き残りは不可能」(大手銀行)な中で、住銀がメーンバンクとなっている鹿島(1812)が支援にどのように関与するかが、再建計画実現のカギを握っている。

  鹿島は6日、「人材、技術面での提携にとどめ、資本参加には踏み込まない」と、熊谷組救済への資金負担を事実上拒否する考えを正式に表明したが、熊谷組が私的整理の常識を超えたリストラを徹底したうえで、公的な支援まで展望できるならば状況は一変する。

  関係者の間では、今月中に熊谷組への債権放棄、リストラ計画第1弾を合意してひとまず延命させるが、「住銀は、新法の制定論議を見て、鹿島だけでなく前田建設工業(1824)や竹中工務店などが救済に名乗りを上げる第2段階を待つ構えでは」(同)との見方が広がっている。

■URL
・熊谷組
http://www.kumagaigumi.co.jp/
・住友銀行
http://www.sumitomobank.co.jp/cgi-bin/eb/index.cgi
・日本総合研究所
http://www.jri.co.jp/jri-home.html
・住銀、難航する鹿島頼みの熊谷組再建計画
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/08/28/doc261.htm
・出資は考えず~熊谷組支援で鹿島
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/09/05/doc335.htm

(小倉豊)
2000/09/07 14:53
3/30(金)
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