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コラム 瓦版一気読み(9月4日)

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●後任社長は腹心
  朝日と読売が三菱自動車工業のリコール隠し問題の続報(4日付朝刊最終版、以下同)。朝日は、98年から三菱自工が運輸省に届け出せずに自主回収・修理していた4件・800台分について、同省が道路運送車両法違反で「東京地裁に過料を科すよう求める通知を行う方針を固めた」というものだ。過料は1件につき、「100万円以下」に定められており、最高400万円のお仕置き料となる。読売は警視庁が3日、同社本社の社長室などを捜索したことを受け、クレーム隠しに「経営陣も認識 濃厚」と、上層部の関与に捜査のメスが入ることを報じた。

  ◇三菱自工については、先週月曜日の朝刊で各紙が河添克彦社長の「辞任必至」に触れていたが、今日付では朝日(3面)と日経(企業面)がともに4段見出しと大きな扱いで後任内定を報じている。その人は、ダイムラー・クライスラーとの提携交渉にも当たってきた園部孝取締役・副社長上級執行役員(59)。今週中に内定の見通しという。同社の人材不足が指摘されるなかで、「河添氏の腹心」(朝日)というくだりが気になる。問題社長の腹心に改革が断行できるだろうか。

  ◇このトップ人事報道で先行してきた読売の名誉のため。同紙は週末の2日付朝刊最終版で、「新社長に園部氏」を打っていることを補足しておこう。

  ◇産経と東京は、プーチン・ロシア大統領来日。平和条約締結を含む北方領土の返還問題が首脳会談のテーマになるが、産経は「領土返還に応じず」と、悲観的な見通し。訪日直前に大統領はサハリン州で領土問題に対する強硬姿勢を表明しており、産経はこれを大きく取り上げた。

  ◇毎日は、企画「宗教と政治」シリーズ第6部のスタート原稿をもってきた。日経は自社分析による企業の財務もの。2000年3月期連結ベースで、「上場企業、負債削減進む」と打っている。上場企業(金融除く)は、同期のフリーキャッシュフロー(純現金収支)の黒字額のうち92%を借入金や社債の返還に充当し、借金減らしに積極的に取り組んでいるという内容だ。

  【IT】
  ●ネット料金値下げに期待
  日経が1面準トップで、「NTT専用線 割安に」と郵政省の通信競争政策を報じている。NTTの専用線を新電電各社やインターネット接続事業者などに販売する際に、新たに「卸料金制度」を今年中にも導入させる方針という。NTTが一般企業に販売している専用線の料金より2割程度安くし、競争を促す。ただ、郵政省がNTTの反応を見るために打ち上げた“観測気球”原稿であるのは見えミエ。NTTはどう応えるのか。ネット料金の引き下げが期待されるだけに、前向きに願いたい。

  【トピック】
  ●また立てこもり
  この人は、本当に直情径行の人なのだろう。筆者が高校生のころ(1968年)に静岡県清水市の温泉旅館に立てこもった、金嬉老(キム・ヒロ)元受刑者が韓国・釜山で大暴れして逮捕された。産経が社会面トップ扱いしたほか、各紙も社会面で報道。親しくなった女性の自宅に竹やりで武装して立てこもり、放火した。状況と動機は違うが32年前を彷彿させる事件。人間って本質はなかなか変わりようがないのかな・・・と、自問してしまう。

 メディア批評家 増山広朗


2000/09/04 09:18
3/30(金)
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