情報は時とともに劣化する・・・

　 【1面トップ】
　 ●借金棒引きの成算ありや？
　日経（1日朝刊最終版、以下同じ）の記事が本当なら（失礼！）、熊谷組(1861)への徳政令、もとい債権放棄の段取りがほぼ整ったことになる。NHKが早速、朝のニュースで後追いした。

　 熊谷組再建の”３点セット”は、4,500億円の借金棒引きと抜本的なリストラ、そして鹿島(1812)の支援。再建計画は、2010年までの10年計画で進められ、年間受注高4,500億円で利益が出る体質を作り上げるという。

　 当初、6,000億円とされていた受注高目標を4,500億円に下げるなど、計画に実効性をもたせる工夫が施されているが、問題は鹿島がどこまで親身になって面倒を見てくれるか、だ。

　 ◇三宅島で続く噴火活動は、小・中・高校生の”疎開”に続き、全島避難という最悪の事態を迎えようとしている。火山噴火予知連絡会が昨日、「これまでをやや上回る規模の噴火が繰り返され、より強い火砕流が起きる可能性がある」とする見解を示した。読売と東京がトップで報じている。

　 三宅村は今日、対策会議を開き、今後の対応策を協議するが、予知連絡会がここまで踏み込んだ問題提起を行ったのだから、結論は見えている。島民にとっては、辛く切ない結論である。

　 ◇岡山のバット殴打少年の処分を検討していた岡山地裁は昨日、刑事処分を見送り、少年院送致とする保護処分を決めた。野球部内でのいじめなどを考慮した結果、と毎日。

　 ◇公設秘書に支払われた給与の一部を流用していた山本譲司衆院議員（民主党）は、今日にも東京地検に出頭、取り調べに応じる。地検特捜部は「詐欺罪での立件は可能と判断しているもよう」と産経。

　 ◇朝日は、訪日を目前にしたロシアのプーチン大統領に書面インタビュー。記事の中身は・・・。見出しだけで十分です。

　 【IT】
　 ●クイズ。ITナントカ法はいったい何本あるか分かりますか？
　 IT革命の旗手を自任する森喜朗首相や、（蛇足だが）森首相とそっくりの体型の中川秀直官房長が、「IT基本法だ」とか「IT一括法だ」とか、IT関連法の制定をやたら連発するものだから、頭の中がこんがらかってきたゾ。

　 朝日によれば、郵政省はネット上で流れる有害情報について、プロバイダーの責任範囲や被害者の救済手続きなどを規定した法律を来春を目処に制定する方針というが、これ、これまでさんざ言われてきたITナントカ法案とは全く別の話なの？　誰か教えてくれ！

　 ◇郵政省の話題をもうひとつ。携帯電話の「090」が、2002年3月には満杯となるため、2001年度末を目処に「080」を新たに加えることになった、と毎日が報じている。

　 ◇「.jp」のアドレスを管理している日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が11月から、日本語が使える新しいアドレスの登録を受け付ける、と朝日。

　 【トピック】
　 ●中途半端なキャンペーンには「展望なし」
　 2001年度予算の概算要求が昨日で締め切られた。一般会計予算の要求総額は84兆8,300億円程度。前年度当初予算を0.2％下回ったものの、3年連続の80兆円台の大型予算となる。

　 読売は「借金財政展望なし」と、早くも健全財政キャンペーンを展開しているが、本気でそう思っているのなら、徹底的にやれよ。

　 ◇2001年度予算に先立って編成される今年度補正予算の経済効果は？

　 国と地方の実質的な財政支出である「真水」の規模が自民党の亀井静香政調会長の言い値通り（5兆円）なら、来年度の実質GDPを1％押し上げる、と日経の試算。

　 ◇日本が調査捕鯨の対象にマッコウクジラなどを加えたことで、反捕鯨大国の米国がヒステリーを起こしている。2国間の漁業協議や国際会議への出席をボイコットするという強硬手段に出ただけでなく、将来的には経済制裁に発展する可能性もあるという。

　 毎日の特集記事には出ていないが、30年以上も前に米国が火をつけた反捕鯨運動、実は、ベトナム戦争への国内の批判をかわすことが狙いだった（通説）。ご存じですか？

　 メディア批評家　増山　広朗