スイスの大手金融サービス、クレディ・スイスグループ（CS）は30日（現地時間）、米国証券会社のドナルドソン・ラフキン＆ジェンレット（DLJ）を総額115億ドル（1株あたり90ドル）で買収することで合意したと発表した。買収完了は11月の予定。これを受け、30日の米国株式市場では、DLJが4 1/4ドル高（5.1％高）の88 1/4ドルとなった。買収の噂が出た前日29日に、株価は一気に27.6％も暴騰していた。

　 CSの傘下には証券会社CSファースト・ボストンがあり、DLJ買収によって業務を結合、CSは米国でモルガンスタンレー・ディーンウイッター証券（MWD）、ゴールドマン・サックス証券（GS）などに次ぐ大手証券を持つことになる。また、フランスの大手保険会社アクサ（AXF）はDLJ株式をおよそ71％保有しているが、保有株式のうち70％をCSグループ株式、30％を現金というかたちで売却する。

　 市場では、DLJにとっては世界規模での展開が見込めるほか、CSのリサーチを使うことが可能で、CSファースト・ボストン側もDLJのオンラインシステムなどが使えるため、双方のメリットは大きいと見られている。

　 一方、日本でオンライン証券業務を展開しているDLJdirect SFG証券は、今回の件について、Webサイト上にコメントを発表した。この中で「両社の業務統合により投資銀行業務は飛躍的に拡充されるが、個人取引においても、国際的な展開を一段と強化することになる。従って、個人投資家にオンラインサービスを提供している当社の業務も、今後、一層拡充される」とアピールしている。

　 また、同証券には住友銀行、さくら銀行、住友グループ各社、IIJが合わせて50％出資しているが、今後もこれら株主の全面的なサポートは変わりないという。同社は今回の件についての詳細を、米国側の発表を待って改めて発表する予定。