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コラム 瓦版一気読み(8月31日)

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●「真水」の飲み過ぎに注意促す朝日
  「解除できる状況になっていない」と反対包囲網を敷き、日銀のゼロ金利解除に最後まで抵抗した政府・与党が、補正予算でも連携しようとしている。自民党の亀井静香政調会長と堺屋太一経企庁長官。与党と政府を代表する”積極補正論者”の2人が昨日、今年度補正予算案について話し合った。

  予算規模に言及したのは亀井氏で、事業規模10兆円以上、国と地方の実質的な財政支出である「真水」で5兆円以上が必要との見解を表明。朝日(31日朝刊最終版、以下同じ)だけがトップで、しかも政府・与党が「総事業規模で10兆円を超える」補正予算案を臨時国会に提出する方向で調整に入った、と踏み込んだ。

  といっても、朝日が大型補正を支持するはずがない。狙いは、「借金体質をさらに悪化させる」大規模な財政出動を阻止するキャンペーンなんだろうな、多分。いや、間違いなく。

  ◇NTTの東西地域会社が圏内通話を大幅値下げ。市内電話についても大口割引制度を導入し、学校向け定額通信料金サービスも値下げする、と日経が報じている。新電電への対抗策というが、電話料金の値下げ競争にはたして弾みがつくか。

  ◇税か、社会保険方式か。与党内でも意見が分かれている年金財源の在り方を検討していた有識者会議(首相の諮問機関)が、保険料徴収を柱とする現行の社会保険方式の維持を求めることを盛り込んだ報告書を10月末にもまとめる、と毎日が報じている。

  ◇凶悪な少年犯罪に対処するため「少年事件特別捜査隊」を警視庁と各警察本部に設置(読売)。民主党の山本譲司衆院議員に公設秘書の給与流用疑惑(産経)。東京相和銀行の金融整理管財人団が旧経営陣に190億円請求方針(東京)。きょうのトップ記事は見事にばらけた。

  【IT】
  ●課題山積の国家戦略づくり
  政府のIT戦略会議とIT戦略本部は30日、5年以内に米国を超える超高速インターネット大国の実現を国家目標に掲げ、達成に向けた国家戦略を年内にまとめることを決めた。

  が、その核となるインターネット網の整備ひとつを取っても、民間主導で実施するのか、政府が公共事業として行うのか、意見は分かれており、容易な作業ではない(朝日、日経)。ITのプロ、出井伸之ソニー会長(IT会議議長)がとりまとめの中心的役割を果たすことになるが、相方を務める森喜朗首相(IT戦略本部長)の存在が心許ない(東京)。

  【トピック】
  ●源泉分離方式存続か?
  各省庁の2001年度税制改正要望が出揃った(読売)。投資家にとって最大の関心事は、個人に対する株式譲渡益課税の扱い。現行の源泉分離課税方式は2001年3月末に廃止され、申告分離方式に一本化される予定だが、金融庁は「存続」を大蔵省に要求した。 大蔵省は「朝令暮改は国際的な信用に関わる」と慎重だが、与党も加わった存続要求の声にかき消されそうだ。

  ◇ゼロ金利解除の影響で預貸金金利がじわりと上昇している(日経、朝日)。預金金利の上昇は歓迎だが、貸出金利の上昇は景気に響く。

  上げ幅は今のところ小幅で、「景気や企業収益への影響は限定的」(日経)というが、大型補正予算の編成に伴う国債の大増発など気になる材料も控えており、先行きは決して楽観できない。

  ◇大正生命を舞台にした巨額詐欺事件の古倉義彦容疑者が経営するノンバンクが、金融機関から借りた2億円余を返せず、返還を求める訴訟を起こされていた(毎日)。

  その古倉容疑者のクレアモントキャピタルホールディングが大株主となっている三洋投資信託が運用するMMFが、解約続出で元本割れに。事件の影響はこんなところにも出ている。

  それにしても稀代の詐欺師、古倉容疑者には背後関係も含め未だに謎の部分が多い。どの新聞でもいいから、早く解明して欲しいものだ。

  メディア批評家 増山 広朗


2000/08/31 09:12
3/30(金)
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