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住銀、難航する鹿島頼みの熊谷組再建計画 |
約1兆円の有利子負債を抱え経営不振に喘ぐ準大手ゼネコン、熊谷組(1861)の再建計画が大詰めを迎えている。建材などを納入している業者が手形の受け取りを拒むなどの苦境に陥っているため、主力行の住友銀行(8318)は9月半ばをめどに、総額約4,000億円に上る債権放棄で関係金融機関の合意を取り付けたい考えだ。さらに、経営をテコ入れするため、同じく住銀がメーンとなっている大手ゼネコンの鹿島(1812)に増資を要請し、実質子会社化を目指しているが、交渉は難航。最終決着は今年度下期にずれ込む可能性もある。 ●またも瑕疵担保特約が・・・ 熊谷組の再建問題が注目を浴びているのは、そごう破綻の引き金を引いた新生銀行(旧日本長期信用銀行)から約1,200億円もの借入金があるため。新生銀に通常の債権放棄を要請すれば、そごうの時と同様、国との「瑕疵(かし)担保特約」に基づいて、預金保険機構に債権買取を求めることが確実で、「そごうの二の舞」との批判を浴びるのは必至だ。 そこで住銀は、新生銀が嫌う債権放棄後の2次損失を、メーンバンクとして肩代わりし、債権を預保機構に持ち込むことを思い止まらせる方向で、交渉を進めている。つまり、新生銀の債権約1,200億円のうち、国があらかじめ積んだ貸倒引当金(500億円超)の範囲内で債権放棄を要請し、残った債権を新生銀から買い取ることで、仮に熊谷組が再建に失敗しても、新生銀に追加の損失負担が生じないようにする案だ。 ●救世主・鹿島も強い難色 しかし、新生銀が仮にこの案を受け入れたとしても、熊谷組の再建計画の妥当性に疑問の声は残る。再建の前提になっている年間6,000億円の受注高が「現実的な数字でない」(金融関係者)からだ。住銀は、打開策として鹿島に熊谷組への増資を要請、実質子会社化で信用力を補完したい考えだ。ゼネコン業界の再編を含む再建計画なら、公共事業受注などの面で建設省の強いバックアップが期待できそうとの思惑もある。 ただ、最大手の鹿島といえども経営環境は厳しく、熊谷組の経営リスクを背負うことに強い難色を示している。関係筋によると、鹿島は人材面での支援を超える関与を拒んでいるもようで、説得力のある再建計画が仕上がるかどうかは依然不透明な情勢。秋風とともに、”ゼネコン版そごう”問題は正念場を迎える。 ■URL・熊谷組 http://www.kumagaigumi.co.jp/ ・住友銀行 http://www.sumitomobank.co.jp/
(小倉豊)
2000/08/28
18:05
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