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コラム 瓦版一気読み(8月28日)

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●進退極まっているのに
  日経を除く5紙が、三菱自動車工業のリコール隠蔽容疑での警視庁の強制捜査を取り上げた(28日朝刊最終版、以下同)。1969年に道路運送車両法にリコール制度が規定されてから、「刑事事件に発展するのは」(読売)これが初めてとなる。25日付朝刊の段階で、河添克彦社長の辞任が必至と打った読売を除く各紙が「トップ進退発展は必至」(東京)と、トップ人事も関連記事で大きく仕立てた。日経は、後任にダイムラー・クライスラーとの資本提携を担当してきた園部孝取締役(59)が「有力」と報道。読売報道への遅れを取り戻そうとしているが、こういう憶測記事を新聞業界では”書き得”という。

  ◇その河添社長は、ダイムラー・クライスラーとの提携の推進などを理由に、「留まるのが責任」としてきたが、「自分の進退についてはグループの意見に従う意向」(朝日)という。結局、三菱グループの首脳による「金曜会」に人事を委ねるわけだが、ここに及んで自らの進退を決められない優柔不断さが今回の事件につながったといえるだろう。

  ◇事件の発端は、三菱自動車のベテラン社員のタレコミだった。多くの企業は90年代後半からのリストラで、今ようやく業績の回復を見ようとしている。しかし、この間の処遇に不満をもつ中高年社員やOBからの「告発」というシッペ返しも待ちうけている。要は「順法」という企業活動の基本を遵守すればよいわけだが・・・。日経の1面コラム「春秋」は、東京・中央区の「六角文庫」という「怪文書や内部告発文書など数十万点」を集めた怪文書図書館を紹介している。会員制で企業の広報マンの利用者が多いというが、これをインターネット上でやれば新しいビジネスモデルになると考えた。既にあるのでしょうか。

  ◇日経は、通産省が消費税にインボイス(送り状)方式を導入するよう、年末の税制改革要望に盛り込むとの方針を報道。これまで、通産省は「事業者の負担になる」と一貫してインボイスに反対してきたが、「外形標準課税の導入論に(中略)ブレーキをかける」狙いと、解説している。

  【IT】
  ●日本の翻訳技術をアジアに
  インターネットで情報を検索したいが英語が壁に―。これは日本人だけでなく東南アジア諸国でも同じ悩みという。タイで日本に留学した経験のある技術者が、英語・タイ語の翻訳ソフトを開発したと、朝日が紹介している。日本は翻訳ソフトの先進国であり、デジタルデバイドを解消する狙いからも、こうした対アジア協力が期待される。

  ◇主要紙ではいち早くインターネットでの情報発信に力を入れてきた毎日新聞が、9月15日から介護情報の専門サイトを立ち上げると「デジタルトレンド面」のニュースとして紹介。医薬専門紙「じほう」と協力して「タイムリーな情報を月~金曜の毎日更新する」という。結構なことだが、本来は「社告」で伝える内容なのに、記事仕立てでしっかりPRしている。

  【トピック】
  ●金8個なんて、期待しません
  「いざ シドニー」(東京)と、27日に行われたシドニー5輪日本選手団の団結式の模様を、日経、読売を除く各紙が1面カラーグラフで紹介した。前回アトランタ5輪では金メダルは、わずか3個。今回、八木祐四郎団長は「8個取れる力はある。挑戦したい」(産経)と目標を掲げた。9月15日から、いよいよ今世紀最後のスポーツドラマが開幕するが、八木さん、金メダルの数よりも選手たちがどれだけ感動を与えてくれるかですよ。「挑戦したい」といっても、団長が競技するわけでもないのに。

  メディア批評家 増山 広朗


2000/08/28 09:35
3/30(金)
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