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コラム 瓦版一気読み(8月25日)

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●まだまだ”同床異夢”
  千葉県木更津市内のホテルで行われていた日朝国交正常化交渉は24日、次回交渉を10月に行うなどの合意事項を盛り込んだ共同文書をまとめ終了した。

  今回の交渉で日本側は、北朝鮮側が求めている「過去の清算(補償)」について、日韓正常化交渉時に採用した経済協力方式の検討を提案。毎日、東京とともにこのニュースを1面トップで報じた読売は、「『補償』に代わる『経済協力方式』が議題として浮上してきたことで、今後、日朝交渉が実質的に進展する可能性が出てきた」との見方を示している。

  が、「過去の清算」と不可分の関係にある拉致疑惑など「日朝間の諸懸案」については依然大きな隔たりがあり、毎日は関連記事に「日朝なお”同床異夢”」の見出しを掲げている。朝日が指摘しているように「官僚によるお膳立てはほぼ整った」に過ぎず、交渉のレベルを閣僚級に格上げする時期に来たようだが、この難交渉を仕切れる政治家が日本にいるのだろうか。

  ◇朝日と産経は、小中学生に関する記事をトップに持ってきた。といっても中身はまるで違っており、朝日は噴火が続く三宅島の小中学生を島外へ”疎開”させるというニュース。

  産経は、分数ができない大学生など行き過ぎた「ゆとり教育」が生んだとされる学力低下問題の原因を探るため、文部省が小中学生48万人を対象に学力調査を実施する方針を決めたと報じている。

  ◇日経は、IT・バイオに特化した民間企業の基礎技術開発支援制度を来年度から設けるというニュースがトップを飾った。。実施主体は、通産・郵政共管の基盤技術研究促進センター。両省は、支援方式を従来の出資方式から助成方式に切り換える方針という。

  【IT】
  ●投資家の眼、一段と厳しく
  店頭株市場など新興企業向け3市場に株式を公開するネット関連ベンチャー企業の4~6月期決算がほぼ出揃い、業績と株価が「好調組」「不調組」「将来不透明組」の3極化しつつある実態が明らかになった、と日経が報じている。

  ◇産経によれば、株式市場に新規公開する企業数は、8月末で前年実績を上回り、年間200社を突破する勢い。逆風にあえいでいたIT関連株もようやく低迷から脱しつつあると指摘する向きもあるが、前出の日経の記事は「足元の業績と収益構造の強固さを総合的に判断して銘柄を選別する動きが広がりそうだ」との見方を示している。

  ◇黒ずくめの女性が5人、赤ん坊の頭ほどの四角の箱を掲げた写真が産経、東京などに掲載されている。何かと思えば、任天堂の家庭用次世代ゲーム機「ニンテンドー ゲームキューブ」だった。発売は来年7月。「次世代ゲーム機三国志」(東京)の幕開けか。

  【トピック】
 ●何なんだ、この国は! この会社は!
  「ゲームキューブ」よりももっと凄い写真が東京の1面に。ロシア原潜事故の犠牲者となった兵士の母親が事故対策委員長に抗議している時、背後から女性が近づき、その母親に注射をした瞬間の写真だ。

  投与されたのは鎮静剤。この国は体制が変わってもやっていることは旧体制と何ら変わらないようだ。

  ◇不祥事日替わりメニューの今日の素材は三菱自動車工業。運輸省が同社を道路運送車両法違反(虚偽報告)容疑で警視庁に告発する方針を固めた、と朝日などが報じている。ずっと昔からクレーム隠しをやっていたのだから、当然の報いである。

  「会社の信頼回復が急務」と居座りを決め込んでいた河添克彦社長のクビも危うくなってきた。三菱グループ内で「辞任やむなし」の声が強まっている、と読売。”身内”にまでソッポを向かれたのでは、辞任は時間の問題といえよう。

  メディア批評家 増山 広朗


2000/08/25 09:12
3/30(金)
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