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「1円増資」の仕掛け人は?~IT関連株のマザーズ上場を後押し

  東京証券取引所で一人の常務理事の動向が注目を集めている。マネックス証券(8626)が、株式公開前に「1円増資」に踏み切り、東証マザーズ上場時に個人投資家の手が届く“低株価”を実現した。現行商法の抜け穴とされるこの手法は、実はマネックスの松本大社長と東証の鹿子島菊雄常務理事の「合作」なのだという。

  現行商法は、額面株式の1株当たり純資産額について「5万円を下回ってはならない」と規定。インターネット関連などベンチャー企業の株価を、常識離れの水準まで高騰させる要因となっている。

  ●関係当局と極秘裏に
  関係筋によると、鹿子島氏は無額面株式ならこの規定をすり抜けられる点に着目、無額面株式にして既存株主に1円で割り当てる「1円増資」を繰り返し、発行済み株式数を増やすことを思い付いた。この方法だと、1株当たりの資産額が小さくなり、“低株価”を実現できる。同氏は法務省など関係当局と極秘裡に協議を進め、最終的に同省から「お墨付き」を得て、松本社長に決行を促したという。

  ●してやられた
  マネックスは、株式数を2万株から128万株に増やした上でマザーズ上場に臨んだ。8月4日の初値は6万3,300円(公募価格4万5,000円)と思惑通りの水準に収まり、その後も個人投資家の活発な売買が続いている。

  これに対し、守旧派の中には「違法ではなくても、脱法行為ではないか」(大手証券)など批判も強いが、「してやられた」(同)というのが本音のようだ。8月10日付の日本経済新聞夕刊も編集委員の署名記事の中で、「第2、第3のマネックスが出てきた場合、株式市場のカジノ化に拍車が掛からないとも限らない」と指摘しているが、分かったような分からないような論調だ。

  ●東証の救世主?
  こうした中、当の鹿子島氏は外野の声などどこ吹く風。上場予備軍のベンチャー企業に対し「1円増資」の活用を推奨して回る。日経の懸念をよそに、第2のマネックスが近く登場するのは確実だ。

  米ナスダックが日本に上陸するなど、東証の独占的な地位は揺るぎ始めているが、兜町では「鹿子島氏が東証の救世主になる」(あるオンライン証券社長)との声も。

■URL
・東証
http://www.tse.or.jp/
・マネックス証券
http://www.monex.co.jp/
・流動性を重視するマネックス証券の新規上場
http://www.watch.impress.co.jp/finance/report/articles/000724-1.htm
・マネックス証券、上場初日はストップ高~出井ソニー会長も激励
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/08/04/doc116.htm

(兜太郎)
2000/08/21 11:11
3/30(金)
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