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IT革命へ通信・放送融合を~産構審提言の全容判明

  IT革命の推進策を検討している産業構造審議会(通産相の諮問機関)第1次提言の全容が判明した。提言は、IT革命の推進には従来の参入規制に基づく「個別事業法体系」から、通信と放送の融合を念頭に置いた「競争法体系」への転換が不可欠と指摘。競争法体系の整備を進めていく上で5つのポイントを挙げ、とりわけ、競争促進に不可欠な設備である「エッセンシャルファシリティー」へのアクセス確保と市場支配力の弊害排除に強力に取り組むよう求めている。いずれも、NTTに対し市内通信網の開放などを義務づける「非対称規制」を示唆したもので、NTT再々編の議論を始めた郵政省を強く牽制した内容といえる。

  日本では、通信と放送は明確に区分。通信は、「電気通信事業法」「NTT法」「有線電気通信法」の規制を受け、伝達内容の秘密が課されている。一方、放送は「電波法」「放送法」で規制し、表現の自由と有害コンテンツの排除を調整している。

  しかし、インターネット放送やデジタルデータ放送の出現が、従来の個別事業法による裁量行政に変革を迫っており、提言は「通信と放送は融合の時代を迎えた」と指摘。個別事業法体系を競争法体系に移行させていくことがIT革命に不可欠と結論づけている。

  今後の検討のポイントとしては、(1)通信と放送の区分にとらわれないネットワークサービス機能の抽出(2)競争環境の整備により国民の利便性を確保する理念の確立(3)エッセンシャルファシリティーへのアクセス確保と市場支配力の弊害排除~など5点を列挙。このうちエッセンシャルファシリティーの問題では、東西のNTT地域会社が事実上独占している市内網について、より透明な接続ルールの制定を求め、ケーブル管路や電柱の開放を義務付ける線路敷設権にも触れている。

  今回の提言で指摘されたNTTの“市場支配力”の抑制が、NTT再々編をめぐる電気通信審議会(郵政相の諮問機関)の議論の争点になるのは必至。産構審は9月以降、さらに専門的な肉付けを行い、「年末を目処にIT革命に関する全体的な制度設計案(第2次提言)をまとめる」(今井賢一情報経済部会長)方針で、その頃には、通産・ 郵政両省の確執も臨界点を迎えることにもなろう。

■URL
・NTT再々編で通産、郵政の主導権争い本格化
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/07/25/doc23.htm
・通産省
http://www.miti.go.jp/index.html

(三上純)
2000/08/17 09:32
3/30(金)
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