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パソコン国内シェアに地殻変動~4―6月期のMM総研調査から

  新旧交代の予感―。マルチメディア総合研究所がまとめた2000年度第1四半期(4-6月)の国内パソコン出荷データではこんな市場の図式が明らかになった。出荷台数311万5,000台(前年比42.2%増)、出荷額5,600億円(同24.4%増)と市場そのものは大きく伸びており、インターネットの加速度的な普及など、強い追い風を受けている。そのなかで、メーカー別のシェアでは不動の首位を走りつづけているNECを含め、上位3社が徐々に占有率を下げ続けているほか、1999年度には10位、5位だったソーテックとソニーがそれぞれランクを上げるなど、地殻変動の兆しが見え始めている。これまで際立った動きがなかったパソコンハードの勢力図にも大きな変化が出てきたようだ。

  ●勢いづく”2S”
  今回発表されたシェア順位によると、1位NEC(24.4%)、2位富士通(19.1%)、3位日本IBM(8.8%)とベストスリーの顔ぶれにはまったく変更がない。ところが99年度1年間のシェアと比較すると、NECは0.9ポイント、富士通1.5ポイント、日本IBM0.2ポイントいずれもダウンしている。この結果、ベストスリーで占める全体の割合は98年度の61.3%、99年度の54.9%、今回の52.3%と下降の一途をたどっており、「50%を割り込むのも時間の問題」と見る向きもある。

  これに対して、躍進したのがまずソニー。98年度にはわずか3.7%だったが99年度5.4%、今回7.1%でついに東芝を抜き5位に入ったほどだ。さらにわずか1年前の99年度第1四半期に初めてシェア1.8%で顔を出したソーテックが、昨年度1年間では3.1%、今回は4.3%にアップ。価格競争力と独自のブランド力確立で、日立、シャープ、デルなど居並ぶメーカーを一気に追い抜き8位にランクされた。今後も、いわば「2S」の攻勢が上位3社のシェアを侵食することになりそうだ。

  ●個々のニーズにどう対応
  迎え撃つNECは決まった規格のセットで売るのではなく、インターネットを核にしてユーザー個々の使い方や希望に合わせた「iSolusion」というコンセプトの販売活動をスタートさせた。多様化するパソコンニーズへの対応を図る。こうした流れはすでにソニーなどでも音楽や映像の編集をメインにするタイプで取り入れており、いわば”後発”に甘んじたNECがどこまで訴求できるかが焦点になりそうだ。

  いずれにせよ、「常連」による寡占状態に近かった国内のパソコン市場は、確実に育ちつつある新旧交代の萌芽によって大きく変わるムードだ。老舗の大手ブランドネームも、徹底的な安価販売政策もあまり意味がなさなくなってきた今、各社の次の一手がそのまま勢力図を変えていくことになろう

国内パソコン出荷シェアの推移

■URL
・マルチメディア総合研究所
http://www.m2ri.co.jp/

(市川徹)
2000/08/11 17:38
3/30(金)
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