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コラム 瓦版一気読み(8月9日) |
情報は時とともに劣化する… ●日本は外交下手か? 【1面トップ】◇たまには外交から入るのも悪くはない。朝日(9日朝刊最終版、以下同じ)、毎日、産経の3紙が、”三様”の外交記事を1面トップに持ってきた。 このうち、<日露平和条約越年へ>と報じたのが産経。2000年末までに平和条約を締結するよう全力を尽くすとした1997年の「クラスノヤルスク合意」について、河野外相が参院予算委で「双方の努力目標。期限の間に十分合意できるかは別の話だ」と発言したことを受けたもので、ひとり産経だけが<クラスノヤルスク合意を断念>と断定的に報じた。 時間を考えれば、年内締結の可能性が薄れていることは分かる。が、これからプーチン大統領を招き、今世紀最後の対露交渉に臨もうという矢先に「断念」を示唆する外相の真意はどこに? 河野さんが「首相になれなかった唯一の自民党総裁」だった理由が分かるような気がする。 ◇毎日は、日朝友好議連会長に就任した中山正暉前建設相が、日本人拉致問題を日朝交渉の前提としないと発言した、と報道。これも全紙が書いており、特ダネではないが、拉致被害に遭った家族たちの反発を予想して1面トップに掲載したのだろう。 交渉をまとめるという前提に立てば、拉致問題は戦術的には使いにくい。しかし、この問題を棚上げすれば、そのことへの反発は家族だけにとどまらないことも事実。一政治家の発言と片づけるには、あまりにも大きすぎる問題である。 朝日も、「日朝」が間接的に絡む記事。南北統一問題を特集した連載企画の第1回。 ◇日経は、公共事業の見直し問題、読売は、地震保険制度の改正、東京は、地方分権関連の記事を1面トップに持ってきた。 ●新たな「バラマキ」に? 【IT】◇各省庁の予算獲得のキーワードは「IT」。 手垢にまみれた政策でもITと冠すれば要求が簡単に通ると思っているのだろうか。 ここはひとつ政治主導で、ということで自民党もこのITブームに便乗。建設国債の対象を光ファイバーなどIT関連分野に広げるべく財政法の改正方針を打ち出したが、政府・与党内で猛反発に遭い、断念を余儀なくされた。 が、簡単に引き下がる連中ではない。「財政法を改正しなくても可能」と、”拡大解釈”に路線を変更し、国費による光ファイバー網の敷設に向けて、何としても財源を捻り出す考え。新聞は「新たな『バラマキ』に道」(朝日)と酷評するが、「平気の平左」だ。 ◇通産省が「ITコーディネーター」制度を新設と、読売が報道。何のことかと思ったら、中小企業と個別に契約を結び、情報化計画の立案からシステムの導入、運用までを一貫してアドバイスする専門資格制度を設けるという。 IT専門のコンサルタントを養成しようというわけだが、それにしてもいろんなことを考えますな、通産省は。 ●平成のドンキホーテ 【トピック】◇「老いの一徹」と言うべきか。政府・自民党の面々が「一斉に『待った』」(日経)をかけても、ひるむところがない。一昨日も、そして昨日も、速水優日銀総裁は国会でゼロ金利政策の早期解除に強い意欲を示した。 ゼロ金利継続の”包囲網”が整い、市場も継続を「織り込み済み」(毎日)。それでもなお、早期解除を執拗に繰り返す速水氏。ここまできたら、11日の金融政策決定会合で「解除」を決定するしかない。さもなくば、日銀当局への信頼は一気に崩れ、通貨の番人・日銀総裁は「平成のドンキホーテ」に成り下がってしまう。 ともあれ、運命の時は刻々と近づいている。 増山 広朗(メディア批評家)
2000/08/09
09:17
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3/30(金) |
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