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「平成の黒船」に暗雲~ナスダックJ |
鳴り物入りでスタートしたナスダック・ジャパン(NJ)の取引がジリ貧に陥っている。1日平均の売買高は、取引が始まった6月の28億円から、7月は6億円に激減。低い流動性を投資家が嫌い、NJの利用を敬遠、取引が一層縮小するという悪循環に陥っている。2年後をめどに日米欧の3極をつなぐ「24時間市場構想」がNJの最大の売り物だが、「100億円規模のシステム投資に耐えられるのか」(証券関係者)と先行きを危ぶむ声も出始めた。「平成の黒船来襲」と喧伝されたNJだが、今のところ日本の資本市場に革命をもたらす迫力は見受けられない。 取引の低迷について、NJは「米国に比べ、一般投資家が参加しにくいためだ」(佐伯達之社長)と釈明する。確かに、「1株当たりの純資産額が5万円以上」という商法の規定が、新規上場企業の株価を吊り上げている面は否めず、個人投資家には手を出しにくい。しかし商法の壁は、東証マザーズや日本証券業協会が運営する店頭市場などにも立ちはだかるから、佐伯社長の釈明は説得力を欠く。 しかも、NJの不振は“身内”からも批判を浴びるほどなのだ。NJの設立母体は孫正義氏が率いるソフトバンク(9984)グループと大阪証券取引所だが、ソフトバンク・ファイナンスの北尾吉孝社長は記者会見で「出来高は非常にお粗末だ」とNJを公然と批判。同氏が会長を務めるモーニングスターはNJに上場したが、「複数の市場に株式公開することも考えたい」と“離縁”をちらつかせ、記者団を驚かせた。 NJの上場銘柄数は、6月19日の取引開始時の8社から、今月4日までに12社に増えたものの、当初目標の「毎月10社」には及ばない。8月の上場予定も4社にとどまる。上場手数料や賦課金などの収入は予想を下回るものとみられ、NJの台所事情は苦しい。 一方で、システム開発投資や広告宣伝費を切り詰めれば、東証マザーズなどライバルとの市場間競争から脱落してしまう。こうした中、今秋の増資に向けて、佐伯社長が先頭に立ち、国内外の証券会社や銀行を回り始めた。10社以上の出資を目論んでいるという。 しかし、NJの収益性に対する機関投資家の目は厳しく、果たして思惑通りに資金が調達できるのか、不透明感が漂い始めている。 ■URL・ナスダック・ジャパン http://www.nasdaq-japan.com/ ・ナスダック・ジャパン市場が取引開始(INTERNET Watch) http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0619/nastokyo.htm
(兜太郎)
2000/08/04
14:15
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3/30(金) |
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