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コラム 瓦版一気読み(8月4日) |
情報は時とともに劣化する… ●千葉すずの存在感 【1面トップ】◇新聞各紙(4日朝刊最終版)の1面にデカデカと掲載された美女は? そう、たった1人で日本水泳連盟と闘っている千葉すず選手である。スポーツ仲裁裁判所(CAS)は3日、日本水連が五輪代表から千葉選手を外した問題について「選考方法に公平性を欠く事実はなかった」との裁定を下した。毎日と読売がトップで報じている。 が、記事の中身も裁定の結果もどうでもいい。写真を見る限り、勝負は千葉の勝ち。選手生活を続けるのも良し、タレントやスポーツキャスターに転じるのも良し。凄い宣伝効果ですぞ、これは。 ◇IT革命の主役は民間。では、政府の役目は? 環境整備である。 平沼赳夫通産相が日経のインタビューに応じ、IT普及のためにネット取引の妨げとなる法律を一括して改正する意向を表明。秋の臨時国会から順次、法制度の整備を進めていくという。 一方、自民党の公共事業抜本見直し検討会は、光ファイバー敷設などIT関連の「非公共事業」にも建設国債が発行できるようにするため財政法を改正する方針を決定(朝日)。国を挙げてIT革命に取り組もうというわけだが、この「政治主導」はきな臭さを感じさせる。7年前に、パソコン購入などにも建設国債を投入しようという議論(新社会資本整備論)が巻き起こった時にも、裏で大手パソコンメーカーの首脳が暗躍。利権の影がちらつく中、この構想を積極的に推し進めたのは、たしか森喜朗通産相(当時)だった。 ◇産経は、上半期の刑法犯が100万件を超えた記事、東京は筑波大病院で起きた医療ミスの事件を1面トップに掲載。
●読者が知りたいことを伝えろ 【IT】◇パソコンの売れ行きが絶好調。日本電子工業振興協会(JEIDA)がまとめた4~6月期の国内出荷台数は35%増と大幅な伸びを示した。毎日はパソコン絶好調の背景を特集しているが、中身は暇ダネ(何もない時の埋め草)。 読者が知りたいことはパソコンが売れているという事実よりも、どこのどのパソコンを買ったらいいのかということだ。専門誌に任せてばかりいないで、新聞でもパソコンの性能や使い勝手の比較記事を載せるべきではないか。 ◇朝日によると、NTT発行の電話帳を基に個人の電話番号をデータベースにする電話帳のデジタル化が進行、カーナビや年賀状ソフトに組み込まれ商品化されているという。 電話加入者が同意しているのは、電話帳に番号を掲載するところまで。その先については同意なしに再利用されていることになる。これはどう考えても大問題である。 ◇ネット専業銀行などの免許審査と監督に関する金融再生委員会の指針(ガイドライン)がまとまった(各紙。一部夕刊既報)。新形態の銀行の認可第1号は、さくら銀行などが出資する「ジャパンネット銀行」。 ところで、この指針をよく読むと、免許の判断基準について「一定の収益を見込めること」と規定しているなど抽象的な表現が目立つ。読売によれば、「関係者の間では、規定の趣旨を拡大解釈して、金融当局があえて厳しく運用することを警戒する声も出ている」そうだが、金融当局が裁量行政を復活させようとしていることは間違いあるまい。 ●閉そくが支える 【トピック】◇第2次森内閣が発足してから1カ月が経過したが、金融再生委員長の人選ミスやそごう問題などで依然低空飛行が続く。森サンがダメ首相ならほかの政治家と差し替えたらいいのだが、「ポスト森」が見つからず、こうした「”閉そく状況”が逆に首相を支える構図となっている」(毎日)。困ったものである。 ◇寝苦しい夜が続く。今朝も暑さで午前3時半に目が覚め、布団は水をまいたように濡れていた。友人も同じ頃に目が覚めたという。 ふと、灰色の炎熱ジャングルから逃れ、北国の涼しい空気に触れてみたいとの思いに駆られたが、これは感傷か。暑さで思考が鈍っているようだ。 増山 広朗(メディア批評家)
2000/08/04
09:08
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3/30(金) |
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