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コラム 瓦版一気読み(8月2日)

  情報は時とともに劣化する…

  ●たった15億円?

  【1面トップ】
  ◇総額1兆8,700億円、史上空前の負債を抱えて経営破綻したそごうグループのドン、水島広雄前会長に対する責任追及の動きが本格化してきた。同グループへの興銀からの融資の一部(110億円)について個人で債務保証していた水島氏に対し、興銀が仮処分を申請、東京地裁が預金口座を差し押さえた。

  この事実は、新聞各紙(2日朝刊最終版)が淡々と報じているが、読売だけは水島氏の個人資産が15億円を超すとの独自情報を付加して1面トップに持ってきた。が、水島氏は旧長銀(現新生銀行)からの融資についても90億円の個人保証を行っており、同氏の全資産を差し押さえることができたとしても焼け石に水。結局は、破産の運命を辿ることになる。

◇個人のIT関連消費が急拡大している。日経によれば、パソコン全体の3割を占めていた個人向けが最近では5割に近づき、携帯電話を使ったインターネット利用者も7月末に1400万人を超えたという。

  数字は、多分、目新しいのかもしれないが、新鮮な驚きはない。だからどうした、との感想をお持ちの読者も多かったことだろう。

  ◇中尾栄一元建設相の汚職事件を受けて、「斡旋利得罪」の法制化を巡る論議が活発化。自民党は未だに消極的な態度を取り続けているが、「空しい抵抗」である。

  朝日によれば、与党の公明党は野党案よりも厳しい法案の骨格をまとめたそうで、秋の臨時国会での同法の成立は確実。今後の与野党の論戦は、処罰対象の範囲などを巡る条件闘争に焦点が移ることになりそうだ。

  ◇毎日と産経は、どこまで本気か分からないが、自民党が公共事業の大幅見直しに入った記事を掲載。産経は、東京国税局の税務調査でNKKの総会屋への利益供与と多額の申告漏れが発覚したと報道。

  ●IT主婦増えて通信コストも増大

  【IT】
  ◇何でも「IT」と付けりゃいいわけではないが、ITが家庭に浸透しつつあることも事実。主婦の6割が家庭でパソコンに接し、4割が電子メールを利用していることが、クラレ(3405)のアンケート調査結果から判明。この記事を掲載した毎日は<”IT主婦”6割超す>と大仰な見出しを掲げた。

  問題は「IT」の普及に比例して増えていく通信コスト。クラレの調査では、1カ月当たりの情報関連支出(3万円)が家計支出の約1割を占め、「台所を圧迫しかねないことも明らかになった」(毎日)という。

  ◇ネット利用者が増えれば、当然のことながらインターネット接続サービスの会員数も増えていく。業界第2位の「ビッグローブ」のサービス強化のため、NEC(6701)が今後3年間で総額500億円の新規投資を行うと朝日が報道。

  ●IT狂想曲の中身は?

  【トピック】
  ◇政府は1日の閣議で、来年度予算の概算要求方針を了解。総額48兆4,000億円の一般歳出のうち7,000億円を「日本新生特別枠」としてIT革命の推進などに充てる方針だが、沖縄サミットのIT憲章にもうたわれていたように、IT革命の主役は民間である。官民の役割分担が不明確なまま予算編成にもつれ込めば、朝日が指摘するように「ITという言葉だけが、各省庁にとって予算獲得のキーワードとして独り歩き」しかねない。現に、「日本新生プラン」のIT関連分野には約200項目の政策要望が殺到しているという(日経)。

  増山 広朗(メディア批評家)


2000/08/02 09:06
3/30(金)
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