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市場は今年度補正予算に注目

  1日の臨時閣議で2001年度予算の概算要求基準(シーリング)が決まり、予算編成作業が本格化するが、市場関係者の目下の関心事は来年度予算よりも今年度の補正予算がどうなるかにある。

  ●プラス成長でも必要
  同日午前の閣議後の記者会見で堺屋太一経企庁長官は、「GDP(国内総生産)の度合いなどもあるが、政策的後押しが必要という感じが強い」と述べ、日本経済を自律的な回復軌道に乗せるためには、4~6月期のGDPがプラス成長になっても編成が必要との認識を示した。

  長官がこうした認識を示した背景にあるのが、ここにきての株価の低迷だ。東京市場の日経平均株価は、そごう倒産の影響や米国の株価下落などで不安定の度合いを強め、そごうの倒産の直前に比べ約1800円も下落。先月末には、東証株価指数(TOPIX)に続き、日経平均も年初来最安値を更新した。

  ●株安に強い懸念
  先月の日銀政策委員会・政策決定会合で「ゼロ金利政策」の解除が見送られたのも、そごう倒産の影響が読み切れないという事情があり、堺屋長官もこの日の会見で「警戒しなければならない状況だ」と語り、株安の影響に強い懸念を示した。補正の編成もゼロ金利の解除も、判断は9月10日ごろに発表される4~6月期のGDPの結果を分析した上で、ということになる。

  だが、従来型の公共投資中心の補正予算を組むことが難しくなっていることも事実。先の総選挙で噴き出したバラマキ政策への世論の拒否反応もあるが、今年度と来年度についても99年度並みの公共事業を維持するには事業規模で10兆円(真水で5兆円)の補正予算編成が必要になるからだ。いくら国が力を入れようとしても、地方自治体が財政難でついてこれないという事情もある。

  需要創出効果の限界が指摘されている一方で、公共投資を景気中立的なものにするためには2~3兆円程度の補正予算の編成が必要という声も強く、4~6月期のGDPが発表される秋口に向けて補正の是非と規模を巡る論議が活発になろう。


(沖野宗一)
2000/08/01 16:39
3/30(金)
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