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コラム 瓦版一気読み(7月28日)

  情報は時とともに劣化する…

  ●再生委員長襲う「利益提供」疑惑

  【1面トップ】
  ◇内閣から独立した行政委員会として98年12月に発足した金融再生委員会は、銀行の生殺与奪握っている”怖い”組織である。そごうの債権放棄問題ですっかり信用を落としたが、国の金融行政を統括する立場は今も変わらない。委員長(金融担当相)には政治家が起用され、現在は久世公堯参院議員が務めている。

  その久世委員長が、96年までの13年間にわたり、三菱信託銀行から2億3000万円もの「利益提供」を受けていた、と朝日(28日朝刊最終版、以下同じ)がスクープ。今日召集の臨時国会では、日債銀の譲渡契約に盛り込まれた「瑕疵担保特約」の扱いが最大の焦点となり、久世氏はこの問題と自身への利益提供問題で野党側の厳しい追及を受けることになりそうだ。

  ◇情報収集衛星(毎日)、ヤコブ病(読売)、日露平和条約(産経)、吉野川可動堰(東京)、ゼロエミッション(日経)と、今日のトップ記事は見事にばらけた。

  ●ネット証券、電機メーカーにITの追い風

  【IT】
  ◇インターネット取引口座は今年6月末で100万を突破。証券会社に足を運ぶ手間が省け、手数料も安いネット取引は今後、急速に増加することが見込まれている。

  従来の店頭中心の株式売買方式だと、顧客が増えれば従業員の数や店舗も増やす必要に迫られるが、バーチャルなネット取引の場合、こうした手間をかける必要はない。読売によれば、ネット専業の松井証券の4~6月期決算は、一般企業の売上高に相当する営業利益が前年同期比27%増となった。

  昨年10月の委託手数料完全自由化で手数料を一気に1/10に引き下げたにもかかわらず、口座数の急増で売買手数料が大幅に増加したためだ。まさにITさまさま、である。

  ◇ITは家電の不振にあえぐ電機メーカーの収益をも押し上げている。松下電器産業(6752)が発表した4~6月期の連結営業利益は、「IT関連市場の拡大を背景に」(日経)前年同期比48%増と3年ぶりに増益に転じた。余談だが、筆者のこの原稿は松下のPCで作成した。

  ◇「iモード」の勢いはとどまるところを知らない。26日時点での加入者数は950万人。NTTドコモ(9437)の立川敬二社長によれば、8月上旬に1000万の大台を突破する見込みだという。

  ●外人投資家も逃げ出す「株安」

  【トピック】
  ◇株価下落に歯止めがかからない。27日の東京株式市場は、そごうの倒産やローソン株の低迷などの悪材料が続いたことで幅広い銘柄に売り注文が出、平均株価が1万6000円割れまで下落した。東証株価指数(TOPIX)も今年最低を更新、外国人機関投資家は再び日本株売りに転じている。昨日の紙面で日経平均を酷評した朝日は、<TOPIX1500ポイント割れ>を見出しに掲げた。

  毎日、読売、産経の3紙が株安の背景について特集している。

  ◇経企庁の調査によると、インターネットやパソコン通信の年代別利用率は20代(89%)、30代(67%)がいずれも半数を超えたのに対し、60代以上は15%に過ぎず、年代による格差が広がっていることが分かった(東京)。

  最近、筆者の両親(いずれも70代)がパソコンに夢中になっているので、そっと覗いてみたら「麻雀ゲーム」。インターネットの効用を説いてみたが、「もっと簡単にできんのか?」と全くその気がない。

  ◇大手ソフトメーカーのトップが部下を引き連れてネットの未来を熱っぽく説いていた東京・新宿のスナックが今日、20年の歴史に幕を閉じる。カラオケがなく、議論するには恰好の場所だったのだが…。

  増山 広朗(メディア批評家)


2000/07/28 08:57
3/30(金)
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