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ターゲットは法人~新電電の市内参入

  NTTの接続料引き下げ問題の決着を受け、新電電の日本テレコム(9434)、第二電電(9433、DDI、10月からKDDI)が相次いで市内電話事業への参入を表明している。市場に競争原理が持ち込まれ、すでに「東京電話」によって崩れている「3分10円」の価格崩壊が加速するのは間違いない。インターネット接続料金の引き下げも大いに期待できる情勢だ。ただ、新電電の当面のターゲットは意外にも、個人ユーザーではなく、企業ユーザーに当てられる見込みで、法人需要でNTT(9432)との激しい囲い込み競争が演じられることになる。

  新電電を市内電話参入に突き動かす大きなキッカケは、来年5月から始まる「優先接続制度」だ。現在、NTT以外の新電電各社を利用するには「001」や「0088」といった識別番号が必要だが、来年5月以降は、利用者が電話会社を事前に登録しておけば、識別番号がいらなくなる。電力系を除く新電電は市外、長距離、国際電話はすでに手がけているが、市内電話だけがメニューにはない。優先接続制度に向けてNTTと同様のサービスメニューを揃えることは営業戦略上、不可欠だった。接続料の引き下げで、その道がようやく開けてきたわけだ。各社には引き下げによる原資を、すでにかなり値下げしてきた「長距離料金」などに費やすよりも、利用頻度が高く訴求力のある「低廉な市内電話」に重点的に振り向けた方が得策との判断もある。

  ただ、新電電が市内電話参入で当面の最重要ターゲットにしているのは、企業ユーザーとなってくる。優先接続制度は、いったんある電話会社に登録したら、それを覆すのが難しいとされる。ある新電電の幹部は「企業ユーザーいったん登録してもらえば、そう簡単には乗り換えない。むしろ個人ユーザーは乗り換えが早く、後からでも巻き返しは可能」と、戦略を描く。

  新電電が企業向けを重視する理由として、市内電話事業を企業が多い首都圏からサービスを始めること、さらに企業の市内電話は平均通話時間が個人よりも短く、3分いくらの料金体系だと採算が取りやすい~ことも背景にある。もちろん、個人ユーザーを軽視するわけにはいかないが、新電電の出資母体には、トヨタ自動車、京セラ、JRグループなど有力企業がひしめいており、グループ挙げて法人需要の開拓に乗り出す構図も見えてきた。

■URL
・日本テレコム
http://www.japan-telecom.co.jp
・DDI
http://www.ddi.co.jp

(編集部)
2000/07/24 10:24
3/30(金)
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