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コラム 瓦版一気読み(7月24日)

  情報は時とともに劣化する…

  ●アイムソーリー(総理?)…森首相が凍り付いた瞬間
  【1面トップ】太平洋戦争の激戦地、沖縄を舞台に繰り広げられた「九州・沖縄サミット」は23日、参加8カ国首脳の討議結果をまとめたG8首脳宣言を採択して閉幕した。主要6紙(24日朝刊東京最終版)中、産経を除く5紙がこのニュースを1面トップで報じた。

  中身が薄いと分かっていても、大量の記者を沖縄に送り込んだ以上、”領収証”は切らなければならない。が、22頁に及ぶ膨大な宣言文をこねくり回しながら仕立て上げた記事はまるで金太郎飴。唯一、朝日だけが批判と皮肉を盛り込んだ解説調の記事で独自色を出している。

  ◇ところで、我が宰相の議長ぶりはどうだったか。最初から最後まで官僚の振り付けに従い、安全運転の「司会」に終始(東京)。期待?された失言もなく、大役を無難にこなしたものの、閉幕直後の議長会見では同時通訳のイヤホンを付け忘れ、質問に立った外人記者に「アイムソーリー」。凍り付いたのは本人だけではない、国民も赤っ恥をかいた。

  ◇今回のサミットを日本政府は「ITサミット」と位置づけていたが、外国プレスの評価は「宴会サミット」(毎日)。海外プレス向けの外務省のブリーフィングでは、サミットの経費に810億円もかかったことに質問が集中、外人記者の間から「これだけの金額を使ったサミットは聞いたことがない」と、”金満”サミットに批判の声が上がったという(産経)。ちなみに、前回のサミット費用は7億円、前々回は11億円だった。

  この関連で新聞に載っていないこぼれ話を。24時間営業のプレス用レストランに終日入り浸り、記事も書かず取材もせず大声で”馬鹿話”にうつつを抜かし、外人プレスから顰蹙を買っていた記者団がいた。外国通信社の「日本人」記者たちである。彼らの遊興費(飲食代)は無料。810億円の大金はかくの如く浪費された。

  ●Eメールで何をやり取りするの?
  【IT】「(次回サミットまでの間の)意思疎通を増進するために、我々は、我々の間で電子メールのネットワークを設けることに合意した」~~ITサミットを象徴するような文言が、ロシアのプーチン大統領の提案でG8宣言に盛り込まれた(読売など)。

  日経は、「『メールで事が済むなら、首脳が一同に介する意味が薄れるのでは』との声も」と皮肉るが、道理。東京も「最近になってパソコンの特訓を受け始めたばかり」の森首相が加わったネットワークの立ち上げには時間がかかりそう、とこれまた皮肉タップリの書きぶりだ。

  ◇月曜日はニュースが薄い。そんな中でIT関連のニュース拾ってみると、伊藤忠商事(8001)や海運会社などが設立した海運・造船関連の総合インターネットサービス会社「マリンネット」に三菱商事(8058)などが新たに出資することになった、と朝日が報道。月曜日でも企業面を持つ日経は、NEC(6701)がネット関連事業に500億円新規投資する計画と報じている。

  ●辞めてもらおうじゃないの
  【トピック】森政権の最高実力者、自民党の野中広務幹事長がまたまた辞意をほのめかした。「小渕前総理が命まで賭けた沖縄サミットが無事成功したというのは、私も政治家として1つのケジメだと思っている」との発言が飛び出したのは、23日のフジTV「報道2001」。

  発言の真意について読売は、「求心力回復が狙いでは」との自民党筋の見方を紹介しているが、どっちでもいい。ケジメをつけたいと仰有っているのだから、この際、潔く身を引いてもらおうじゃありませんか。

  ◇情報は時とともに劣化する。この連載コラム、冷めないうちにお読み下さい。

  増山 広朗(メディア批評家)


2000/07/24 09:06
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