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「ソーダストリーム」っていろいろあるけど何が違うの? 選び方から活用法まで

炭酸水メーカーの「ソーダストリーム」を入手して1年以上。筆者の使用するモデルは「Genesis v3 スターターキット」(9,900円)で、日々の炭酸作りに欠かせないお気に入りの家電です。以前のソーダストリームの使用感を紹介した記事が人気だったとのことで、編集部のご厚意により、ソーダストリーム本丸への取材の機会をいただきました。

正直、自分の使い方は正しいのか? 上位モデルはもっと快適に使えるんじゃないか? と思っていたところだったので渡りに船。筆者のコスパ重視の使い方は正解なのか、上位モデルとの違いなど、ソーダストリーム マーケティング部の平野氏に伺ってきました。

ソーダストリーム マーケティング部 部長 平野幸恵氏

「ソーダストリーム」の日本展開は2011年からとのこと。欧州における炭酸水の文化を他国にも定着させる戦略で、アジアの拠点として日本へ。世界で約20億リットル以上の炭酸水を提供するナンバーワンブランドとして承認されています(米国大手消費者リサーチ会社カナディアン社調べ)。

やはり高いモデルの方がいい?

筆者が使っているのは前述の通り9,900円です。これに対して最上位モデルは3万円超えです。これくらいの価格差があると、どんな違いがあるのか気になるところです。

「ソーダストリームのラインナップは、大きく、電動タイプと手動タイプ、そして四角いデザインのソースシリーズ、丸いデザインのスピリットシリーズ、ワンタッチ、スリムなデザインに分けられます。『ソース』と『スピリット』は専用ボトルの着脱がワンタッチで、カチャッと着脱できて相当スムーズです。『スリム』の着脱はねじ式です。おすすめは着脱が簡単な『ソース』か『スピリット』のモデルになります」

ソースシリーズは、デザイナー イヴ・ベアール(Yves Behar)氏による、直感的に操作できるデザインとなっており、様々なデザイン賞を受賞しているそうです。男性に人気で、一押しとのことです。「ソース パワー(Source Power)」(31,900円)と「ソース v3(Source v3)」(20,900円)があります。

日本では丸いデザインが好まれる傾向もあり、お手頃な「スピリット ワンタッチ(Spirit One Touch)」(20,900円)と「スピリット(Sprit)」(15,400円)の出荷数が多いとのことでした。

「ソースとスピリットのモデルにそれぞれ『電動タイプ』と『手動タイプ』の2種類があります。電動タイプは『弱』『中』『強』のボタンを押すだけです。手動での炭酸ガス注入が苦にならないなら、手動タイプがおすすめです。コンセント不要で場所を選ばないことを好まれる方は結構いらっしゃいます」

電動タイプの2モデル。「ソース パワー」(左)のカラーバリエーションは、ホワイト/ブラック。「スピリット ワンタッチ」(右)のカラーバリエーションは、レッド/ホワイト/ブラック
手動タイプの「ソース v3」(左)と「スピリット」(右)。カラーバリエーションはいずれも、レッド/ホワイト/ブラック

電動タイプは本体上部に炭酸量を指定するボタンが配置されていて電源が必要。手動タイプはボタンを押し込んで炭酸ガスを注入するため電源不要です。

電動タイプのソース パワー(左)と手動タイプのソース v3(右)の本体上部
ソースパワー(左)とソース v3(右)の背面。電動タイプは電源が必要になる
電動タイプは炭酸量を指定する「弱」「中」「強」のボタンを押すと炭酸ガスが注入される
手動タイプは、本体前面部分を下に押し込んで炭酸を注入する
電動タイプのスピリット ワンタッチ(左)と手動タイプのスピリット(右)の本体上部。電動タイプはボタン押下で操作する。手動タイプは中央のボタンを押し込む

なお、筆者愛用のスリムタイプ「Genesis v3」は同社で旧型扱い。現在は「Genesis Deluxe v2(ジェネシス デラックス v2)」(13,200円)がありますが、手動での炭酸ガス注入、専用ボトルの脱着はネジ式で面倒と、価格以外のおすすめポイントはあまりないみたいでした……。

最上位モデルのソースパワーでデモしていただいたところ、筆者の「スリム」とは別モノの動作。いつか買える日が来るといいなぁ、なんて思いました。壊れたら上位モデルへの買い替えを検討します。

好みの炭酸量のボタンを押すだけ
自動的に適量の炭酸ガスが注入される。余剰のガス抜きも自動
手前に傾ければすぐに取り外せる

炭酸水の元は「水道水」でいい? ミネラルウォーターは面倒なんですが

ワンタッチ操作だけどコンセントが必要な電動タイプ、操作の手間はあるもののコンセント不要でどこでも使える手動タイプを選び、さらに四角いデザインのソースか丸いデザインのスピリットかで選べばOKということはわかりました。あるいはお値段最重視か。その次は、購入した後の使い勝手です。

炭酸水の元として、筆者は当たり前のように水道水を汲んでいますが、「水道水」でいいんでしょうか? ミネラルウォーターのほうが味の良いイメージがあって一度試しましたが、面倒なのでそれきりでした。ペットボトルの炭酸水を買ってくるのが面倒というのが購入理由の1つのため、ミネラルウォーターを買っていたら、というのもありまして……。

「水道水で問題ありません。ミネラルウォーターを買ってきて専用ボトルに入れ替えるは面倒ですよね。ソーダストリームは『手軽においしい炭酸水』がコンセプトなので、むしろ水道水がおすすめです」

炭酸水の元は「水道水」で問題なし!

水道水のお墨付きをいただきました。ところで、軟水と硬水とでは、味の違いがはっきり出そうですが……。

「元の水の味が違うので、差は出ます。いつも飲むのは硬水、といったこだわりがあるならお好みで楽しんでいただければと思います。ただ、手軽に炭酸水を楽しむなら水道水でしょう。水道水でも十分に作りたてはおいしいですし、お酒の割り材としても最高です」

コツとして、水道水を冷やしてから炭酸ガスを注入すると、臭みが和らぐ効果があることも教えていただきました。また、キャンプ場にソーダストリームを持ち込んで清流で炭酸水を作る方もいるそうです。ペットボトルの炭酸水を大量に持ち込むよりは手軽ですがワイルドですね。

ソーダストリームでできる炭酸の強度はどれくらい?

“強炭酸”が売りのペットボトル商品があります。また、ソーダメーカー炭酸強度対決のような特集もありますが、ソーダストリームの炭酸水はどれくらいでしょう? 炭酸ガスの含有量「GV(ガスボリューム)」の目安などがあれば教えてください。

「炭酸の強度を数値で比較するのは実はそれほど意味がないため、弊社では『GV』の表記は使っていません。密閉した容器なら何GVでも注入できますが、蓋を開ければどんどん炭酸ガスは抜けていきます。そのため何GVだから強炭酸といった表現は、実用には直結しないのです。それより、気温や水温によって炭酸ガスの溶解量が変わることを理解しておくことが重要です」

なるほど。水を冷やしてから作ると炭酸が強くなると聞きます。

「冷水では炭酸ガスが溶けやすく気泡化しにくい、つまり炭酸ガスが抜けにくくなります。強炭酸といっても、すぐに抜けたら意味がないですよね。ソーダストリームは炭酸ガスの注入効率が厳密に計算されています。しっかり蓋をして冷蔵庫に保管しておけば長時間の保存も可能です」

ユーザーとしては、炭酸が弱いと感じたら、再びボトルをセットして「追い炭酸」できるのがソーダストリームのいいところです。

ガスシリンダーやボトルは何本あればいいですか?

ソーダストリームでは専用のガスシリンダーを使用しますが、筆者の場合は2本のガスシリンダーを定期便で交換しながら使っています。もっといい方法があるかもと思い、専用のガスシリンダーの扱い方に正解はあるのか聞いてみました。

「ガスシリンダーの交換は、使いはじめれば簡単で合理的です。スーパーや小売店、家電量販店など、ソーダストリームの取扱店は全国にあります。お住まいの近くに取扱店がある方は、2~3本のガスシリンダーを手元に、1本使い切ったら店で交換・購入するのがおすすめです。定期便は2本単位の交換なので、3本あるといいと思います」

そうなんです。定期便は発注から到着まで数日かかるので、2本目を使い切るタイミングの見極めが難しいのです。確かに3本あればそんな心配は無用ですけど……。近くの取扱店舗を探してみます。

ソーダストリームの取扱店は公式サイトで確認可能

ところで、ガスシリンダーはかなり頑丈ですが、特別な技術が採用されているのでしょうか。

「ガスシリンダーの構造は特許を取得しています。管理・運搬においても高圧ガスの取り扱い基準を満たしており、大量のガスシリンダーの配送、回収、再充填を全国で展開できるのは『ソーダストリーム』ならではです」

定期便は佐川急便が配達してくれますが、厳重な取り扱い基準をクリアしているのですね。そのようなガスシリンダーなので、家での取り扱いの注意点も気になります。

「故障することは少ないと思いますが、もし、ガスが漏れても中身は二酸化炭素なので爆発はしません。ただし、二酸化炭素は空気より重く、床付近に溜まる性質があります。ペットや子どもなどは注意して換気してください」

なお、専用ボトルはあればあるだけがおすすめとのこと。確かに冷蔵庫で冷やしておけば常に冷たい炭酸水が作れますね。マイボトルとして持ち歩けるミニボトルのラインナップを充実させていく予定だそうです。

ソーダストリームの専用ボトル。専用ボトルの耐久使用数は約5万回。底が金属とプラスチック(黒)のものに性能差はないとのこと。右2つは持ち運びに便利なミニボトル

ほとんどメンテナンスしていませんが問題ありませんか?

メンテナンスが面倒なのではないかと、購入を躊躇する方もいるでしょう。というか筆者は、ガスシリンダーは使い終わるまで付けっぱなし。交換もお任せなので特に何もしていません。専用ボトルはゆすぐ程度、この使い方で問題ないのでしょうか。

「専用ボトルには水しか入れませんので、口を付けて飲まないなら毎回洗う必要はないと思います。たまに洗浄して、完全に乾かせば雑菌も心配ありません」

あと、気になっているのは炭酸ガスの噴出口です。これこそ購入してから気になるポイントだと思うのですが、むき出しで衛生面が気になってしまいます。

炭酸ガスの噴出口が気になる

「日本人ならではの考えですね。『カバーはないのか』というお問い合わせもありますが、密閉するほうが不衛生で、乾かしておくのが正解です。気になる場合は炭酸水を作る前に軽く拭けば問題ありません」

水と炭酸ガスなので気にしすぎる必要はないということですね。これからも、ずぼらメンテナンスでいきたいと思います。

炭酸水の「飲む」以外の使い方

ソーダストリームのWebサイトでは料理のレシピが紹介されています。こういった取り組みの狙いはどの辺にあるのでしょうか。

普段の料理で試せる炭酸水レシピがたくさん

「日本の食文化に合わせたレシピになります。炭酸水を飲むのは新しい習慣ですが、日本人に馴染みのある料理の『水』を『炭酸水』に置き換えて食文化に取り入れていただきたいと考えています。例えば、たまご焼き、おでん、パンケーキ、炊飯など。煮物も定番です」

なかでもおすすめは炊飯に炭酸水を使うことだそうですが、一番人気のレシピは「きゅうりの炭酸漬け」。きゅうりを切って、昆布茶と炭酸水を入れるだけなので手軽に試せることから人気が高いようです。

レシピdeソーダストリーム | 炭酸水でふっくらご飯!
一番人気の「きゅうりの炭酸漬け』レシピ

炭酸水を使うことで味が染みやすくなり、食材のうまみも溶け出すため、減塩してもしっかりと味を感じられるそうです。ソーダストリーム公式のYouTubeチャンネルもありました。料理にも積極的に使っていきたいと思います。

ジュースに未対応なのはなぜ?

競合機種はジュースなどの清涼飲料水に炭酸ガスを注入できて、例えば、気の抜けたビールに炭酸を追加といったアピールがされています。ソーダストリームでは対応していませんが、技術的にできないわけではなく、できるけれどもやらないという選択をしているそうです。

「ユーザーのニーズが極端に少なく、またジュースなどに炭酸ガスを注入するユーザーメリットがないと考えています。清涼飲料水にはいろいろな物質が含まれているため、炭酸ガスの溶ける量は水と異なり、ボトル満タンの状態で炭酸ガスを注入できませんし、必要な炭酸ガスの量も増えます。また、炭酸ガスをゆっくり抜いてからボトルを取り外す必要があります。急な圧の変化によって溶けている炭酸ガスが一気に吹き出す『フォーミング現象』を避けるためです」

炭酸ガスをたくさん使って、時間もかけて、少量しかできないということから、結果的に使わなくなってしまうことを避けたい思いがあるようです。

「そのほか、本体を清掃する手間もかかります。使い続けてもらうには、メンテナンスが楽であることも重要だと思っているのです。弊社では『専用シロップ』の利用をおすすめしています。コップ1杯に1滴で味を変えられる『ウォータードロップ』も展開しています」

専用シロップのラインナップ。「コンブチャ」のみ1,620円、その他の味は1,080円。一番人気は手前のコンブチャ。いわゆる昆布茶ではなく、フルーツ系の味の発酵飲料とのこと
3種類のウォータードロップ。すべて540円

今夜もソーダストリーム稼働中

貴重なお話を聞かせていただきました。そして今夜もソーダストリーム稼働中です。炭酸水が残ってしまっても「追い炭酸」できるので、無駄もなく炭酸感にも満足です。

できたての炭酸水を使ったハイボール最高

レモン割り、梅割りと、炭酸水だけでも楽しみ方もいろいろ。酒量が多めの方は炭酸水で休肝日とするのもいいですよね。筆者は、これまでスルーしていた割物のシロップや味変用のウォータードロップにも興味が出てきました。