文具知新

携帯用なのにワンアクションで使用可能! リヒトラブ「コンパクトホッチキス」

突然ですが、皆さんはホッチキスを使っていますか? 最近は資料もメールやクラウドで共有する機会が多いので、ノートやペンなどの一軍アイテムと比べると、使用頻度はそれほど高くないかもしれません。でも、ときどきどう~しても必要! という場面が訪れるため、お守り的に備えてはおきたい。自分にとってのホッチキスは、そんなポジションの文房具です。

そんなちょこっと使いのユーザーにとってありがたいのが、いわゆる携帯用のホッチキスです。通常のものと比べると綴じられる枚数は少ないものの、コンパクトに収納したり持ち運んだりできるというメリットがあります。

携帯用ホッチキスにも色々な種類がありますが、その中でも私が愛してやまないのがリヒトラブの「コンパクトホッチキス」(495円)です。正直に言うと自分自身、ホッチキスを使う機会はそれほど多くありませんが、とにかく大好きなアイテムなのでこの機会にぜひ紹介させてください。

ホッチキスは構造上どうしてもかさばる

この製品がいかに素晴らしいのかについて語る前に、そもそもホッチキスはどのような構造になっているのかを簡単におさらいしたいと思います。普通のホッチキスがかさばる大きな要因は、まず紙をはさみこむためのスキマが必要なこと、そして針を押し出すための金属板、ドライバがあることです。

ホッチキスは構造上どうしてもかさばりがち

ドライバは、バネによって針から少し浮いた状態になっています。上下のパーツを握り込むことでドライバが針を押し出し、紙を綴じます。握りを緩めると、ドライバが再び元のスタンバイ状態に戻ります。

ホッチキスをコンパクトにして持ち運び可能にしようとする場合、この上下のパーツが離れていることがネックになります。ギュッと握り込んだときの状態でロックをかけて固定すればいいのですが、ドライバがそのままの位置にあると閉じるたびに針を無駄に打つことになってしまいます。そのため、携帯用ホッチキスでは「ドライバを針に当たらない位置まで逃すこと」が必要になってきます。

コンパクトにすると使い始めるまでに手間がかかる

一番シンプルかつ実際によく採用されている解決策は、ドライバのパーツをスライド式にして、使う人が自分の手でそれを移動させることです。具体的な動作としては、下記のようになります。


    1.ホッチキスの上下を大きく開く
    2.ドライバのパーツをスライドさせる
    3.上下を使用状態にセットする
    4.紙を綴じる
    5.ホッチキスの上下を大きく開く
    6.ドライバのパーツをスライドさせる
    7.上下を収納状態まで閉じる
コンパクトさと引きかえに手順が増える

収納性や携帯性のメリットを考えれば仕方のないことかもしれませんが、普通のホッチキスであれば手に取っただけですぐに紙を綴じられると考えると、少々めんどうだなと感じてしまうことも事実です。

開くだけで使用可能な携帯用ホッチキス

場所を取らないコンパクトなホッチキスが欲しい……でも使う時には手間なくパパッと使いたい……そんなズボラでワガママな私がこれはめちゃくちゃ便利!!! と大感動したのが、今回紹介する「コンパクトホッチキス」だったのです。

リヒトラブの「コンパクトホッチキス」(495円)

コンパクトホッチキスを使い始める時の動作は、次の通りです。


    1.ホッチキスの上下を使用状態まで開く

なんと、「開く」のワンアクション! それだけで即、紙が綴じられる状態になるのです。小さいドライバを爪の先で押したり引いたりする必要はありません。

一体どうなってるの? と思って開いて見てみたら、答えは非常にシンプルでした。小さなバネがついていて、そのバネがドライバを内側に向かって引っ張っているのです。バネのおかげで、上下を開いてロック状態が解除されると、自動的にドライバがスタンバイ状態にセットされる、というわけ。

バネのおかげでドライバが自動的にスタンバイ状態に

収納も(ほぼ)ワンアクション!

収納する時はお尻側にあるボタンをおさえるとバネが伸びて、ドライバも先端に向かって押し出されます。その状態で上下を閉じれば、あっという間に収納状態に。

たたむ時はCLOSEボタンを押しながら閉じる

使って片付けるまでのアクションをまとめると、次の通りになります。


    1.ホッチキスの上下を使用状態まで開く
    2.紙を綴じる
    3.ボタンを押しながら上下を収納状態まで閉じる

ボタンを押しながら上下を閉じるのは厳密にいえば2アクションかもしれませんが、押すのとたたむのは同時なので、体感的には1アクションに感じます。

使い始めも使い終わりもワンアクション

手でドライバを動かしても、ほんの少しの違いでしょ? と言うなかれ。その少しの違いが、使っていくうちに地味に効いてくるのです。

消しゴムサイズで収納も持ち運びもラクラク

たたんでしまえば、大きさは消しゴムともさほど変わらないくらいのサイズ感です。引き出しや小物入れの中でも場所を取りませんし、これだけコンパクトなら使用頻度が低くても念のためペンケースに入れておこうかな~という気になれます。

消しゴム(右)と比べてもこんなにコンパクト

綴じ枚数はコピー用紙10枚までと通常のホッチキスよりは少なめですが、ほとんどの場合はこれで事足りるでしょう。自宅に置いておくもしもの時用のホッチキスとして。会社では部数や枚数が多い資料の時は備品を使い、ちょっとした資料をまとめる時は自席で、と使い分けるのにもぴったりです。

最後に、これは私の超個人的な意見ですが、手でドライバを動かす方式と違って、金属パーツに触れなくて良いのも好きなポイントです。金属パーツに指紋や手の脂がつくの、意外と気になるんですよね……。

領収書や書類の整理が何かと多い年末年始。そういえば、自宅にホッチキスがないな〜という方は、お守り代わりにおひとつ手元に置いてみてはいかがでしょうか。

ヨシムラマリ

ライター/イラストレーター。神奈川県横浜市出身。文房具マニア。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。元大手文具メーカー社員。著書に『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)。