いつモノコト
ガチな湿度が知りたい。テストーの温湿度計「testo 608-H2」
2020年10月3日 10:00
エアコンで部屋を冷やす夏場は、室内の温度・湿度が大きく変動する季節だ。筆者はこれまでアナログな針が動くバイメタル式の温湿度計をデスクに置いて使っていたが、もう少し素早く計測でき、どうせならガチめの正確な数字が知りたいと思い、独テストーの卓上温湿度計「testo 608-H2」を購入してみた。Amazonでの購入価格は14,368円(税込)だった。
高精度が特徴の温湿度計
「testo 608-H2」は湿度と温度に特化した温湿度計で、露点の演算と表示も行なえる。保管庫や実験室、製造現場などをターゲットにした製品で、最小値と最大値それぞれにしきい値を設定でき、湿度、露点、温度のいずれかについて、しきい値を超えるとアラームLEDが点灯する機能も搭載されている。
昨今市販されている温湿度計は、室内での熱中症を予防する目的でアラーム機能が搭載されているモデルが多いが、この製品でも(目的は違うが)同様の使い方をすることが可能だ。ただ、アラームはLEDの点滅だけで音は出ない。
一番の強みは、湿度の精度が±2%RHと、高精度な静電容量式湿度センサーを搭載している点。電気式の湿度センサーには抵抗式と静電容量式があり、静電容量式は応答速度に優れ、低湿度・高湿度の測定が可能なのが特徴だ。本製品の測定レート(測定値の更新サイクル)は18秒で、湿度の測定範囲は2~98%RHとかなり広い。また測定範囲すべてで±2%RHの精度が確保されている。分解能は0.1%RHだ。
温度計の測定範囲は-10~+70℃、精度は±0.5℃(25℃)、分解能は0.1℃だ。また本製品の動作温度もこれに準じている。
電源は9Vの(角型の)アルカリ乾電池で、電池寿命は約1年間。電池残量が少なくなると画面に電池残量低下マークが表示され、そこから約8日間動作できる。メーカー保証期間は2年間で、製品パッケージにはハンコが押された出荷検査書が同梱されていた。
なお、兄弟モデルとして「testo 608-H1」もラインナップされている。こちらは湿度の精度が±3%RHになっているほか、温度・湿度ともに測定範囲が少し狭く、LEDの点灯によるアラーム機能は省かれている(そして価格も少し安い)。
「普通の機器ではわからない」がわかるという満足
筆者がそれまで使っていた温湿度計は、針を動かすアナログなバイメタル式のため、例えばエアコンを付け始めてまもないタイミングでは室内の温度・湿度の変化が大きく、すぐに正確な数値を得ることは難しかった。しかし電気式であれば、エアコンによる変化程度であればすぐに追従でき、まさに今現在の温度と湿度をリアルタイムに確認できる。
もっとも、(電気式の)デジタル表示で部屋の温度・湿度をすばやく確認したいという、筆者程度の日常の用途なら、さまざまな製品が安価に販売されている。
例えばタニタの「デジタル温湿度計 TT-585」は1,000円前後で購入できるが、抵抗式の湿度センサーが搭載されており、表示の更新サイクルは20秒、湿度の精度は±5%RH(35~75%RH、それ以外は±10%RH)だ。温度の精度は±2℃(0~+40℃)。「testo 608-H2」と比べてしまうと精度の面ではけっこう物足りないが、ざっくりとした目安としては十分ともいえる。筆者はこの製品を寝室で使っている。
一方で、「testo 608-H2」における、湿度の精度が±2%RH、温度の精度が±0.5℃というレベルは、目安を超えて、信頼できる機器としての存在感が出てくる。例えば防湿庫を導入した際は、仮運転の際に庫内の湿度が30%台前半になるよう調整していたが、防湿庫に備え付けのバイメタル式の湿度計(精度は±5%RH、30~60%RH)に頼ることなく、本製品を庫内に置いて高精度に調整できた。
あとは単純に、高精度な測定機器というのは、「普通の機器では分からない部分まで明らかにした」という、ちょっとした痛快さがある。
安価な製品でもおおよその温度・湿度を把握できるが、「で、ホントは何℃なの?」という、もう一歩踏み込んで「正しい値を知りたい、測りたい」と思った時、高い精度の「testo 608-H2」は、そうした欲求を満たしてくれる頼れる製品なのだ。