キャッシュレス百景
第20回
金欠こそキャッシュレス。“あと払い”駆使して金欠に立ち向かう! by 江須田
2019年8月6日 08:15
“キャッシュレス”といえば「お金を使わない取引」だが、うまく使えば“キャッシュがレス”、つまり「お金がない人」にとっても有効そうだ。筆者が活用しているのは支払いを先延ばしする方法。もちろん計画的に利用しないと手数料(利息)でたいへんなことになったり、自分の信用を傷つけることになりかねないので、払える見込みがないなら利用は厳禁だが、活用次第で金欠な人にはけっこう便利なのだ。
筆者が実践している支払いを先延ばしする方法のいくつかを紹介したい。PayPay、メルペイを使いつつもクレジットカードにヤフーカード、セブンカード・プラスを使ってお得かつ、支払いを先延ばしする方法だ。
なんとかPayの特典は欲しいがお金の分散は避けたい
今、キャッシュレスといえば「なんとかPay」とまとめて呼ばれるバーコード決済が話題だ。高額ポイント還元やクーポンの配布が話題となり、うまく使えば大きく得をする。筆者も5月の連休のキャンペーンではポイントをうまく頂戴することで数千円単位で出費を抑えられた。
しかし、高額ポイントやクーポン以外ではなかなかメリットは感じられない。チャージで前払いしてしまえば、使うまでの間、そのお金は宙に浮いた状態だからだ。しかも、なんとかPayが複数あってチャージしたお金が分散するのは非常に無駄だ。
クレカチャージできるPayPay
そんななかでも、手持ち現金も銀行口座にもお金がないときはクレジットカードでチャージできるところがある。「PayPay」がそうで、クレジットカードといってもヤフーカード限定だが、うまく使えば、実際のお金の支払いを先に伸ばすことができ、クレジットカード利用分が銀行から引き落とされるまでの期間、お金を借りたも同然だ。
後払いはクレジットカードを普通に利用しても同じだ。ただ、PayPayにチャージすることでポイントがもらえたり、少額でクレジットカード利用がためらわれるようなモノの購入、そして、クレジットカード利用ができない店での利用が可能になることが大きなメリットだ。
また、「なんとかPay」でクレジットカードチャージが少ない反面、以前からある電子マネーのほうはクレジットカードチャージ対応が多い。たとえばSuicaは券売機などでクレジットカードチャージが可能。モバイルSuicaならクレジットカードを登録しておけばスマホの操作でチャージが可能だ。
nanacoはWebサイトからクレジットカードチャージが可能。セブン銀行のATMなどでセンター預かり分を反映するひと手間が必要だが、カード、モバイルともに利用が可能だ。WAONも指定のクレジットカードがあればチャージができる。
メルペイあと払い、も支払いを先延ばしできる
そして、この記事を執筆中の2019年8月の支払い先延ばしでのトピックはなんといっても「メルペイあと払い」のキャンペーンだ(8月11日まで)。8月に使った金額を最長で9月末まで支払いを後払いできるうえ、上限はあるが特定の店で70%還元という超高率ポイント還元が行なわれている。
さっそく対象店舗で利用、7割が翌日戻ってくるのだからメルペイの気前の良さには感服だ。しかも、後払い時にはキャンペーンで還元されたポイントが使えるうえ、いったんチャージしたお金で精算すれば手数料がかからない(注:8月のキャンペーンの場合)。
メルペイ“あと払い”で最大70%還元キャンペーン。8月11日まで
キャンペーンなしで使ってもクレジットカードなみに後払いができるサービスだが、キャンペーンがあれば利用しない手はない。
公共料金から税金まで、手数料なしに支払い日を後にする方法
クレジットカードもメルペイもあるので、ふだんの買い物なら後払いは比較的簡単だ。
しかし、公共料金をカードを使って手持ちのお金がないのに払いたいと思うことがある。会社員なら健康保険、住民税、年金は給与から天引きなので、年に一度の自動車税(軽自動車税)や固定資産税くらいしかないかもしれないが、フリーターなど天引きされない人にとっては通常の買い物に並ぶ大きな支払いが税金などの公共料金だ。
税金は多くの自治体でクレジットカード払いが可能になっているが、全部が対応しているわけではないのと別途手数料がかかるものばかり。しかし、手数料なしでカード払いする方法がある。対応する公共料金もコンビニ払いに対応しているものすべてだ。
それは、セブン-イレブンやイトーヨーカドーなどで使えるnanacoにクレジットカードでチャージして支払う方法だ。支払い手続き自体はセブン-イレブンのお店に出向く必要があるが、そのぶん、Webサイトからのカード払いと違って納付証明書がもらえる。最近は納付証明書が必要になる場面は少ないが、車検に必要な軽自動車税の納税証明など、証明書がないと困る支払いには便利だ。
nanacoへのチャージはほとんどのクレジットカードが対応しているが、Webサイトでカードを登録してから24時間経たないとチャージができない仕組みになっている。おそらく悪用を防ぐためだが、チャージが悪用された7payと違ってnanacoは厳重だ。そのため、最初の手続きは余裕をもって行なう必要がある。
実際のチャージはWebサイト上の手続きだけでは完結せず、いったん「センター預かり」となり、チャージ金額をnanacoカードに移す手続き「残高確認」が必要になる。これはセブン-イレブンで支払うときに同時に行なってもよいし、セブン銀行のATMでもできる。モバイルのnanacoならスマートフォンの操作でもできる(Androidのみ)。
また、買い物で貯めたnanacoポイントを使うこともできる。その場合はセブン-イレブンのレジやイトーヨーカドーのサービスカウンターでポイントを使ってnanacoにチャージしてもらう手続きが必要になる。
チャージ残高が用意できたら、あとはセブン-イレブンのレジで公共料金を払う方法と同じで、支払い時に「nanacoで払います」と言い、カードやスマホをかざすだけだ。
なお、ひとつ注意することがある。クレジットカードで直接払う場合はポイントが付くが、nanacoにチャージだとポイントがつかないかごくわずかになる。支払い金額やクレジットカードの還元率にもよるので、手数料を払ってでも後日に大きなポイントが帰ってくるカードなら、nanacoで払わないほうがよいだろう。
筆者の場合、チャージでも0.5%だけポイントが付く「セブンカード・プラス」を使っている。今からカードを申し込みするなら入会特典もあるので、これを機会に入会するのも悪くない。
Tポイントから税金を払う方法もある
税金や公共料金をクレジットカードで払う方法があるが、余っているTポイントを公共料金を支払いにあて、現金やカードの支払い額を下げることもできる。使うのは「Yahoo!公金支払い」だ。
対応している自治体や公共料金に限られるので全く使えない人もいるが、余らせているTポイントを税金に当てることができる。
支払いは一般的な税金支払Webサイトと同様に手数料がかかるが、手数料がかかっても余っている大量のTポイントを活用したい場合には有効だ。ヤフーのサービスでもらえ、ヤフーのサービスにしか使えない「期間固定Tポイント」も公金払いに使えるため、特典で大量にもらい、使い道のないTポイントは公共料金に当てると便利だ。
ただ、非常に残念なのは、ヤフーのサービスでもらえる期間固定Tポイントの多くは、8月1日からPayPayのポイントの付与へと移行している。今後、PayPayのポイントで払えるようになるかは不明だ。
そして、もっとお得な方法がある。PayPayのチャージにも使えるクレジットカード「ヤフーカード」の申し込みをすれば大量の期間固定Tポイントもらえる。最大1万ポイント(2019年8月1日現在)もらえるが、使い道がないのならこれで公共料金を払ってしまうのもよいだろう。
ヤフーカードはPayPayを利用したり、Yahoo!のサービスを利用する上で特典が多いので持っていて損はない。
綿密な支払い計画が必要だが、リボ払いも活用する
最後に、お金がないときに、公共料金を払わないといけない場合に使える危険なワザを紹介したい。危険の理由は返済計画を誤ると信用情報に傷が付いたり、借金が膨らんでしまい、生活破綻に向かう恐れがあるからだ。
公共料金を滞納してしまうほど切迫した場合、いったんはカードで払うことで、延滞にかかる費用を節約する方法がある。公共料金の延滞金は計算が難しいが、国税の場合でだいたい年9%前後(変動性)。もし、クレジットカードのリボ払いの利率が安ければカードで払ってしまい、あとはリボでゆっくり返済したほうが得になることもある。
また、一過性のものだが、リボ払いのキャンペーンで数千ポイントといった大量のポイント還元が行なわれるなら、利息が高くてもあえてリボ払いにする方法もある。最近良く見かけるキャンペーンは支払い手続き後に特定の支払いをリボ払いに変更すると大量ポイントがもらえるというもの。リボ払いの手数料(利息)を計算して、お得ならリボにしてみるのもありだろう。
そして、カードをリボ払い専用設定にすることでも大量ポイントがもらえることもある。リボ専用設定は、返済を考えると少し怖いが、リボ払いの上限金額を最適化することで利息をほとんど払わずにポイントをもらうこともできそう。筆者の場合、5月にリボ払いで自動車税などを支払い、大量のキャンペーンポイントをもらってトータルで得をしたことがある。
なお、これらは、綿密な計算をした上で実行しないと、支払い金額が逆に高くなる可能性がある。利息なしにリボ払いで支払いを延ばすのは、計画的にやる必要があることは覚えておいてほしい。
「ご利用は計画的に」がすべてのキャッシュレス
結局のところ「ご利用は計画的に」がすべて。綿密に計算すればキャッシュレスを実践することで得をしたり便利になる。
反対にリアルなお金が動かないことで金銭感覚が麻痺して想定以上にお金を使ってしまう可能性もある。キャッシュレスのサービスを提供側の企業も「つい多く買ってしまう」ことも期待しているはずだからだ。
現在、なんとかPayやクレジットカード加入で高額ポイントが蔓延しているが、こんな状況はそう長く続かないと思われる。落ち着いた状況になったら、損をしたり無駄使いをしたりしないよう、今から「ご利用は計画的に」だけは守っていきたいと思う。