ミニレビュー

Apple Watchがもっとシンプルに。「ダブルタップ」を使ってみた

新Apple Watchのダブルタップ

アップルが「watchOS 10.1」を公開した。これは、Apple Watchのうち「Apple Watch Series 9」「Apple Watch Ultra 2」で「ダブルタップ」を実現するものだ。

ダブルタップとはどんな操作なのか、どんな時に便利なのか、簡単に解説してみよう。

なにかあったら「ダブルタップ」で操作

ダブルタップは、親指と人差し指を2回「パチパチ」と打ち合わせる動作だ。

どんな風に使えるかは、以下の動画をご覧いただきたい。

ダブルタップを実際に使い、どんなことができるかを動画にまとめてみた

watchOS 10の新機能である「スマートスタック」で情報を切り替えたり、通話の着信・切断に使ったり、音楽の再生・停止に使ったりと、可能なことは色々だ。

ダブルタップを認識すると「指」のマークが表示されるし、同時にApple Watchに振動もある。精度はかなり高く、「狙って操作したシーンで認識しない」ことはほとんどない。

ダブルタップが認識されると、画面上に指のマークが出る

「指を打ち合わせる」という特性上、できることはシンプルだ。「選ぶ」「止める」「送る」という単機能に特化している。Apple Watchの操作を全部これで代替する、というものではなく、「その場でやってほしいことがサッとできる」というイメージだ。

例えばメールの通知が来たときにダブルタップすると、その内容が見られる。そしてさらにダブルタップをスクロールしていくと、返信やアーカイブなどのボタンがあるので、またそこでダブルタップして選ぶ……という感じである。

要は「なにかあったらダブルタップ」で良いわけで、これは確かに、慣れると快適だ。

ダブルタップで、スマートスタックを開く、ウィジェットをスクロールする、電話の応答や通話の終了、音楽の再生や一時停止などが可能

「Assistive Touch」とは別機能 「時計を見ている時」だけ動作

ただ、注意が必要な点もいくつかある。

最初はもちろん、「使える機種が限られる」こと。冒頭で述べたように、Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2という、2つの新機種でのみ利用可能だ。

似た機能に、アクセシビリティ向けに用意された「Assistive Touch」の「ハンドジェスチャ」というものがある。こちらは新機種以外でも使える。

Assistive Touchは似た機能だが、より複雑な動作向けで狙いが異なる

ダブルタップや手のひらを開閉する動作(クレンチ)で操作できる、という意味では似ているのだが、こちらは「タッチスクリーンを使わずにApple Watchを操作する」ためのものに近く、より操作が複雑だ。また、認識精度もwatchOS 10.1のダブルタップに比べると劣る印象がある。

次に、ダブルタップは「基本的に画面を見ている時に有効」だという点がある。

例えば手を下に伸ばし、画面が見えない状態でダブルタップしても働かない。電話がかかってきたとき、Apple WatchもiPhoneも見ずに着信を受ける……というわけにはいかないのだ。

手首を顔の方に向けた上でダブルタップすると確実に動作するが、そうでないと動作しないことが多い。冒頭で「狙って操作すれば誤動作はない」と書いたが、「狙って操作」というのは「手首を顔の方に向ける」=画面を見る、ということだ。

これはもう「そういうもの」と思った方がいい。Apple Watchを顔に向けていない時に手や指を動かしても認識しないわけで、「意図しない誤動作を避ける」ための配慮でもあるのだろう。

この辺を意識して使ってみると、より使い勝手が上がるのではないだろうか。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、AERA、週刊東洋経済、週刊現代、GetNavi、モノマガジンなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。 近著に、「生成AIの核心」 (NHK出版新書)、「メタバース×ビジネス革命」( SBクリエイティブ)、「デジタルトランスフォーメーションで何が起きるのか」(講談社)などがある。
 メールマガジン「小寺・西田の『マンデーランチビュッフェ』」を小寺信良氏と共同で配信中。 Xは@mnishi41