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脱ゴチャゴチャ資料 見やすくするコツは「文字装飾」と「グルーピング」

PowerPointを使ってプレゼン資料を作ったときに、自分で見返して「なんだか見にくい」と感じたり、上司やクライアントから「わかりにくい」と指摘されたり……などの経験はありませんか? そんな人でも、最低限のデザインの基本を知ることで、見やすくわかりやすい資料が作れます。ここでは、見やすい資料を作るためのデザインの基礎知識の中から、まず知っておきたい2つのポイントを紹介します。

この記事は2月20日発売のインプレス刊『一生使える見やすい資料のデザイン入門 完全版』(森重湧太 著)の一部を編集・転載しています(編集部)

文字を「派手に! かっこよく!」飾るのは罠 見やすい文字装飾は4つで十分

重要な項目を伝えたいとき、PowerPointのワードアートなどの文字装飾機能を使って、文字に飾りをつけたくなったことはないでしょうか。しかし、これは罠です。「かっこいいから」「なんか目立ちそうだから」とやりたくなる気持ちはわかりますが、変に凝ったデザインの資料は、見にくく、そして見た目も悪いです。装飾をするなら、「太字にするだけ、大きくするだけ、下線を引くだけ、色を変えるだけ」の4つで十分です。まずはこの4つを覚えましょう。

派手な装飾は統一感が出ず、ごちゃごちゃした印象に。また、装飾が派手すぎて内容よりも装飾に目がいってしまう
デザインに統一感が生まれて、まとまりのあるデザインに! 重要なポイントもすっと目に入るためわかりやすい

凝ったデザインには2つの問題点があります。1つ目は、凝った飾りは、全体のデザインを崩しやすいこと。

例えば、質素な和室に、世界一のデザイナーが作った大胆な牛柄のテーブルを置いても普通は調和しませんね。スライドは、基本的には白などの質素な背景にさまざまな情報を貼り付けていくものなので、そこに凝ったものを置くとゴチャゴチャしてしまうのです。

2つ目は、凝ったデザインは全体の一貫性が取りにくく、相手が理解するのに時間がかかることです。ワードアートは簡単に凝った装飾が作れるので、どうしても作り手が楽しい気持ちになってスライドごとにデザインを変えてしまいがちです。しかし、見る側は、スライドを見るたびに装飾に目がいき、内容を瞬時に理解できません。

これは、5種類も6種類もペンを使って授業のノートをとることと同じで、見た目はキレイですが、一体何が重要なのかわかりにくくなります。重要なところだけを赤1色で書いてあるノートのほうが断然便利ですよね。スライドもそれと同じです。装飾はシンプルに。それだけでグンと印象が変わります。

文字装飾のコツまとめ

  • 凝った装飾は見た目のバランスを崩しやすい。まずはシンプルを心がけよう
  • ワードアートは罠。絶対に使わないと覚えよう
  • 文字の装飾は「太字」「大きく」「下線」「色変更」の4つだけ

複数の要素があってゴチャゴチャするときは「グルーピング」しよう

グルーピングとは、その名の通り、あらゆる要素を情報のかたまり(グループ)ごとに分類して、まとめることです。ポイントは、「同じグループのものは近づけ、違うグループのものは離す」。たったこれだけです。

図と文が離れると関係性がわかりにくい。作例では、どの図が会釈なのかと迷ってしまい、一番右が会釈かと思ったらよく見たら最敬礼、のような誤解を招く。上の説明文が一番左の図、中段の説明文が中央の図、下の説明文が一番右の図と対応しているとわかるまで時間がかかる
図と文をまとまりごとに分類。図のすぐそばに説明文があるので、何の図なのかすぐにわかる。また、異なるグループ同士は余白を設けて少し離し、グループごとに白地を敷いたことでさらにわかりやすくなった

例えば上の2つの作例画像のように、1枚のスライドで「会釈」「敬礼」「最敬礼」という3つのお辞儀の違いについて図と文章で説明したいとき、グルーピング前の1つ目の作例のようなレイアウトでは、どの文章と図が対応しているのか相手に考えさせてしまいます。

作成者は左が会釈、中央が敬礼、右が最敬礼だとわかっていますが、見る人は何の情報も持っていないので、どれがどれだかわかりません。口頭での説明を聞いて、ようやく「あ、一番上の文章が、左の図に対応しているのね」とワンテンポ遅れて理解します。

「たった一言の説明でわかるなら、グルーピングしなくていいのでは」と思うかもしれませんが、スライドの枚数が何枚もある場合、その都度説明していては貴重な制限時間を食いつぶしますし、何より内容理解に手間がかかるので、見る人に対して不親切です。

また、対応する図と文章の距離が遠いと、目線移動も多くなり読みにくさが増す原因にもなります。

今回の場合だと、2つ目の作例のように、対応し合う図とその説明文を隣接させると、図と説明文が1つのグループであることを示すことができます。

また、図が3点あるので、それぞれの図と文章を混同しないようそれぞれのグループは少し距離を離して配置するのもポイントです。

さらに、白地を敷いて情報グループを可視化して比較対象をはっきりさせています(薄い枠線でもOK)。そうすることで、どれがどの図の説明だと、何の口頭説明もなく、しかも瞬時に理解してもらえます。

グルーピングのコツまとめ

  • グルーピングとは、情報のまとまりごとに分類し、まとめること
  • 複数の要素を掲載する際は、同じグループ同士でまとめると見やすくなる
  • 同じグループのものは近づけ、違うグループのものは離すのがコツ
一生使える見やすい資料のデザイン入門 完全版

・価格:1,980円
・発売日:2024年2月20日
ページ数:208ページ
サイズ:B5変型判
著者:森重湧太
内容
LESSON 1 伝わる資料とはどういうものか
LESSON 2 資料が見やすくなるデザインの基本
LESSON 3 作業スピードが劇的アップ! ベースデザインの時短ワザ
LESSON 4 資料の見栄えが良くなる! 表現のテクニック
LESSON 5 さまざまな資料に応用しよう シーン別実例集