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シニア世代は「話したい」 アイ・オー、押すだけテレビ電話「memet」
2025年2月20日 16:05
アイ・オー・データは20日、同社初となるサブスクリプション型のテレビ電話サービス「memet(めめっと)」を発表した。先行販売はMakuakeにて実施し、通常本体価格は19,800円となるが、Makuake先行販売では200台限定で30%OFFの13,860円で販売する。
memetは、シニア世代が離れた家族と“かんたん”にコミュニケーションを行なうために開発したテレビ電話。本体の「連絡先ボタン」と、「通話」の2つのボタンで発信でき、テレビ電話に使うボタンは3つのみ。ほかにボタンがないので「間違いようがない」というシンプルさが特徴となる。また、auのSIMを搭載しているため、本体をコンセントに接続するだけの簡単設置で利用できる。
memetの連絡先は、3件まで登録可能で、専用ボタンに割当できる。離れた家族側はスマートフォン「memet専用アプリ」から通話するため、本体が必要なのはシニア世帯側のみとなる。
本体のほか、テレビ電話利用にはサブスク契約が必要で、料金プランは3種類。ライトプランは月に1時間通話可能で、月額980円から。
5人に1人は後期高齢者 シンプルに「話せる」を実現する
開発背景には、2025年にいわゆる「団塊の世代」が全員75歳以上になる「2025年問題」がある。5人に1人が後期高齢者になると言われており、働き世代の人手不足の問題が発生しているなかで、同社の技術力を使って、サポートできることはないかということから検討が始まったという。
そのなかでも注目したのが、家族とのコミュニケーション手段。独自にヒアリングを実施したところ、シニア世代は「友人とのコミュニケーション」や「家族との団らん」といった対人コミュニケーションを重視していることが判明した。
一方で、子や孫の世代のニーズは「親の見守り」の需要があることがわかったという。現代社会は共働きが進んだ影響で、地方の過疎化・東京一極集中の状況下で家族間の繋がりが希薄化。ゴールデンウィークなどの帰省のタイミングで親の変化を子が実感し、定期的なコミュニケーションの必要性を感じるなど、課題が多い。
シニア世代のスマホの普及率は6割を超えているが、利用状況を確認すると70歳以上の半数が「多機能すぎる」「詐欺やトラブルに巻き込まれないか心配」といった理由から、普段は利用していないなど、日常的な使用のハードルが高いという実態がある。同社は、スマホや既存の通話アプリ、サービスではこのコミュニケーションの課題を解決できないと感じたとして、家族がゆるやかに繋がれるコミュニケーションツールの「memet」の開発に着手。
memetは、auのSIMを内蔵しているため、インターネット回線工事やWi-Fi設定は不要。コンセントに挿すだけで、すぐにテレビ電話が利用できる。操作もシンプルで、大きなボタンとわかりやすいアイコンを採用。タッチパネルではなく物理ボタンを採用し、確実な操作感を重視した
開発では、子・孫世代への事前アンケートだけでなく自治体や事業所、介護福祉士、公民館職員、シニア世代にも試作機をもとにヒアリングを実施。シニア世代に試作機を実際に使ってもらい、様子を観察。潜在的な課題を発見したという。タッチパネルの操作性、ボタンの押し心地、文字の大きさ、情報量などのフィードバックを得られたとしている。
ヒアリングや観察を通じて、本当に使い続けられるデバイスを目指したという。例えば、ボタンの採用について、memetの開発を行なった第3事業部 企画3課の竹田 隼氏によると「タッチパネルでは押した感覚がないため、自分で操作できているかわからない。物理ボタンの採用には、自分が操作した認識と画面の遷移が一致しないときに混乱が起こることに気づいたため」としている。
本体のカメラ、スピーカー、マイクは一体型で、映像は75度カバーで広範囲を映すことが可能。ボタンは機能ごとに形、大きさ、色を分けて記憶しやすくしている。着信時には画面全体が点滅し、音だけでなく視覚的にも着信を認識できる。不在着信があった場合は、トップ画面に不在着信があったことを表示。折り返しも簡単に行なえる。
「単に機能をシンプルにするだけでなく、“利用者が使い続けられるシンプル”を重視し、1つの端末に集中しない脱スマート化を目指した」(竹田氏)。
選べる料金プラン 家族側はアプリで通話
料金プランは3種類。テレビ電話の時間によって料金が異なる。ライトプランは月に1時間通話可能で、月額980円。ベーシックプランでは月に4時間のテレビ電話が可能で月額1,480円。プレミアムプランは月8時間のビデオ通話が可能で月額1,980円。音声通話については、どのプランも時間制限がなく、無制限で利用できる。また、テレビ電話の時間を使い切ってしまった場合も音声通話に自動で切り替わるほか、別途550円支払うことで、ビデオの通話時間を1時間延長できる(購入月内のみ有効)。
- ライトプラン:980円/月(テレビ電話1時間+音声通話無制限)
- ベーシックプラン:1,480円/月(テレビ電話4時間+音声通話無制限)
- ライトプラン:1,980円/月(テレビ電話8時間+音声通話無制限)
いずれも通信費用込みで、契約に縛りはない。
子どもなど離れた家族側の利用は、専用のアプリ(iOS/Android)から、memet本体に表示されるQRコードをスキャンして登録する。QRコード1つにつき登録できる端末は1台のみという制限を設けることで、セキュリティを高め、詐欺被害等を防止する。最大で3つの連絡先をmemetに登録できる。
memetの初期設定のイメージとして、子や孫がmemetを受け取り、契約プランの選択と連絡先の登録を事前に行ない、実家にmemet本体を設置、コンセントを挿せばすぐに使えるといった流れを想定。
通常価格は19,800円。Makuake先行販売では、超超早割で30%OFFの13,860円(200台)、超早割で20%OFFの15,840円(200台)、早割で15%OFFの16,830円(300台)、Makuake割が10%OFFの17,820円(250台)。
一般販売については4月上旬を予定しており、ECサイトなど利用者が購入しやすい販売展開を検討中。今後は、医療・介護業界との連携も視野に入れ、さらなるサービスの拡充を図るとしている。