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GitHub、日本は生成AIプロジェクトで世界7位

左:GitHub Japan リージョナル ディレクターの山銅章太氏、右:富士通 ソフトウェアオープンイノベーション事業本部 本部長の粟津正輝氏

GitHubは27日、開発者向けAIアシスタント「GitHub Copilot」の日本市場における最新状況について説明した。日本の開発者数は前年比23%増の350万人を超え世界9位。'28年にはドイツを抜いて世界第7位の開発コミュニティとなる見込み。

GitHub Japan リージョナル ディレクターの山銅章太氏によると「日本の開発者コミュニティは急増しており、AIの活用も世界的に見て高い水準にある」と述べた。

山銅氏は「ニュースでは、日本におけるAIの定着が鈍化しているという見方もあるが、実際のデータを見ると、日本のAI活用は非常に活発であることがわかる」と指摘。さらに、昨年1年間で日本のAI関連開発が50%以上増加し、生成AIに関する開発の寄与率は世界7位に達していることを明らかにした。また、オープンソース活動においても、日本は世界10位の貢献度を示していると述べた。

GitHub Copilotは全世界でビジネスユーザー向けの有償プランの登録が180万人を超え、約7万7千の企業が導入。その生産性向上効果は顕著で、コード作成時間を最大55%以上短縮できるという。エンジニアから高い評価を得ている理由として、既存の開発環境との高い親和性、多様なプログラミング言語への対応、セルフラーニングが容易な豊富なコンテンツを挙げた。

富士通がGitHub Copilotで20%以上の時短

富士通は、もともと汎用型の生成AIを'23年5月から導入しており、46,000人の従業員が活用している。GitHub Copilotも'23年7月よりデリバリ組織を中心に全社展開を本格的に開始。すでに2,400人の開発者が利用しており、90%以上が生産性の向上を実感、作業時間も20%以上削減されたとの報告がある。同社は'25年度末までに1万人の利用者を目指し、全社的なAI活用を推進している。

当初、GitHub Copilotの利用は富士通社内の開発に限定されていた。システムインテグレーションや顧客向けの受託開発においては、セキュリティや著作権侵害のリスクを懸念し、利用を禁止していた。しかし、経営層のリードのもと、全社推進部門、セキュリティ部門、法務部門、品質保証部門などを横断してガイドラインを整備。情報セキュリティ、品質リスク、知財リスクに関する厳格な確認とチェックを行なう体制を構築した。これにより、7月からシステムインテグレーションなどの顧客プロジェクトでもGitHub Copilotの利用を開始した。

富士通 ソフトウェアオープンイノベーション事業本部 本部長の粟津正輝氏は、「コード生成だけでなく、要件定義、テスト、運用保守など全工程でAIを活用していく」と述べた。

具体的な効果として、Javaのソースコード約1,000行をGitHub Copilotに入力し、共通化できる処理を提案させた結果、238行までコードを削減できたという。約75%の削減となり、その後のテストやメンテナンス工数の削減に寄与。また、トラブルシューティングの効率化や、不慣れな開発環境の構築時間が50%短縮されるなど、多くの開発者から高い効果が報告されている。

富士通は、GitHub Copilotの活用により、'25年度末までに累積で37万5,000時間の時間削減を見込んでいる。

GitHub「10億人の開発者」を目指す

GitHubは、AIがソフトウェア開発の全工程に波及すると予測し、新たに複数のAIモデルを選択できる「マルチモデル化」にも対応した。開発者は自分のプロジェクトに最適なAIモデルを選択できるようになった。また、プログラミング言語を知らない人でも、自然言語だけでアプリケーションを開発できる新ツール「GitHub Spark」のリリースも進めている。

山銅氏は、「1ビリオンデベロッパー(10億人の開発者)を目指す」とし、開発者コミュニティのさらなる拡大を掲げている。