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ぺんてる、浮遊感ある書き心地の摩擦レスボールペン「FLOATUNE」

ぺんてるは、浮遊感のある書き心地を実現した摩擦レスボールペン「FLOATUNE(フローチューン)」を6月27日に発売する。ボール径は0.3mm、0.4mm、0.5mm、インキ色は黒、赤、青をラインアップし、価格はいずれも330円。

開発期間は7年で、のべ100人以上の社員が開発に携わり、書き心地を徹底的に追求したという油性ボールペン。筆記時の摩擦を軽減した浮遊感のある書き心地と、思考を邪魔しないノイズレスなデザインによって、頭の中にある「形になる前のアイデア」がペン先から軽やかに走り出すような体験ができるとしている。

ボール径は0.3mm、0.4mm、0.5mmをラインアップ

ボールペンの仕組みは、回転するボールの表面にインキが付着し、付着したインキを紙に転写する。回転する際にはボールホルダー内の干渉や、転写される際の紙との接触により、どうしても摩擦が生じてしまう。

フローチューンでは、インキがなみなみと流れるシステムと特殊なインキのクッション効果の仕組みによって、筆記時に生じる摩擦を極限まで軽減。これを実現するため、金属同士の接触をやわらげる「クッション成分配合インキ」、インキをたっぷりとスムーズに出す「オーバーフローイング技術」、特殊インキがなめらかに流れ出る通り道を妨げない「高精細のチップ」を採用した。

一般的に油性ボールペンでは粘度が高いインキが使われているが、フローチューンでは今までにないほど粘度が低いインキを採用した。

フローチューンのインク

粘度が高いインキのボールペンではボールにうっすらとインキの膜を作って転写するが、粘度が低いと膜が作りにくい。そこで、ボールの周りにインキを満たし、それによってボールを浮き上がらせて回転させる、オーバーフローイング技術を開発した。

チップに関しても、油性や水性の様々なチップを作ってきた技術を積み重ねて完成させた集大成だという。

フローチューンの先端

結果として、クッション効果のあるインキがなみなみ流れ、インキの上でボールがなめらかに滑ることとなり、浮遊感のある書き心地が生まれるとしている。

デザインは、ホワイトとグレーを基調にシンプルで凹凸のない形状を採用。インキ色の区別は購入時や使用前は確認する必要があるが、筆記時は見る必要がないという考えから、色表示は書いている時は目に入らないながら、上から見るとしっかり判別できる配置としている。

ホワイトとグレーを基調としたデザイン
色表示はペンの上部の斜めにカッティングされた部分に配置

ペン先に向かって太く、色が重い印象になっているが、これは低重心に見えるようにするため。見た目の安定感・安心感によって書き心地をアシストすることを狙っている。

「FLOATUNE」という名称は、「FLOAT」(浮く、浮かぶ、浮動する、漂う、広がる)+「TUNE」(曲、旋律、調子、調和、協調)から来ており、「浮遊して漂うような心地よさで、調和して、音楽を奏でるように情緒豊かに表現する」という想いを込めている。

すべてのボール径、インキ色の替芯を用意し、価格は165円。初年度の販売目標は国内年間約400万本。

ディスプレイ什器

目指したのは“WOW!”と驚かれるボールペン

AIで文章は作れるようになったが、筆記具を使う時には五感に訴える必要があるとの考えから、開発にあたって目標としたのは、思わず“WOW!”と口に出してしまうような感覚に働きかけるボールペン。非常に大きな市場でもあるボールペン市場において販売を大きくしていくため、全社一丸となって、通常10~15人のところ、100人以上が携わることになったという。

製品戦略について説明するぺんてる 執行役員 製品戦略本部 兼 国内営業 本部長 高垣克己氏

“WOW!”とは筆記感の軽さ/重さなどとは異なる感覚的な「体験したことのない心地良さ」と定義し、これを技術に落とし込むためにオノマトペに具体化。そこからインキ粘度の低さや摩擦レスにするという目標が立てられたという。

実際に、アルファベットの筆記で滑らかさや筆記感を求める人も多いアメリカにおいて、プロトタイプのインキのボールペンを試してもらったところ、書きながら「WOW!WOW!WOW!」と言ってくれたというエピソードも紹介した。

開発背景や技術について説明する、ぺんてる 技術研究所 吉川勝教氏(左)、研究開発本部 初谷洋勝氏(中)、製品戦略本部 柴田智明氏(右)

またぺんてるでは、「形になる前のアイデアとメモに関する1,000名意識調査」を実施。「形になる前のアイデア」を思いついたが、忘れてしまった経験がある方が82.4%を占め、アイデアを思いついた時のメモは65.1%が「手書き」であることがわかった。

アイデアを思いついた時にメモをとれなかった・とらなかった理由は、1位は「手近にペンや紙が無かった」だが、2位に「ペンや紙はあったものの、書きごこちがイマイチでうまくまとまらなかった」が続いた。さらに形になる前のアイデアを引き出してくれるペンについては、1位「ストレスなくするする書けるペン(45.8%)」、2位「いつでも持ち歩けるペン(27.6%)」、3位「握りやすいペン(16%)」であったことから、書き心地が重要であるとする。

そのほか、アイデア出しの手近な紙としては1位「紙ナプキン(44.4%)」、2位「レシート(43.4%)」、3位「チラシ(40.0%)」などがあげられたことから、ぺんてるでは体験発表会や発表展示会向けに、フローチューンの特長を生かす紙ナプキンタイプのメモ帳のプロトタイプを作成した。

紙ナプキンタイプのメモ帳
フローチューンの特徴やアンケートのついて説明するぺんてる 製品戦略本部 製品戦略部 マーケティンググループ 伊藤淑子氏