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UberのCEOが来日 ライドシェア規制緩和を呼びかけ

Uber Technologiesダラ・コスロシャヒCEO

Uberは、日本におけるライドシェアの規制緩和に向けて、より使いやすい制度の実現を呼びかけた。Uber Technologiesのダラ・コスロシャヒCEOが来日し、日本の規制当局のルールに従うとしながらも、より柔軟なライドシェア導入を求めた。

日本においては、4月にタクシー会社管理による「日本型ライドシェア」がスタート。Uberも各地域で導入したほか、自治体と協力して「自家用有償旅客運送(自治体ライドシェア)」も加賀市において開始するなど、対応を進めている。

一方、タクシー会社“以外”の参入については、6月時点では全面解禁に至らず、今後、日本型ライドシェアなどの実績を見ながら法改正を含めた検討を進めることになった。現状の、日本型では時間やエリア、台数の制限が多く、大きな成果には至っていないが、当面は現行制度を調整しながら、今後の対応を決めていくこととなる。

Uberでは、日本型ライドシェアだけでなく、全面的な解禁を望んでいるとしながらも、コスロシャヒCEOは、「最近の規制改革を引き続き推進する方針を示したことを歓迎する」と言及。そのうえで、3点の改善を提案した。

1つ目は、ドライバーの雇用形態について。現在、ライドシェアドライバーはタクシー会社に雇用される必要がある。「業務委託契約で柔軟に働けるようになれば、ライドシェアドライバーになりたいと考える人が大幅に増え、移動の足不足解消につながる」と指摘する。

2つ目は、タクシー会社によるライドシェアの提供時間や場所、台数などに制限があること。これにより、「タクシー会社の運用が複雑で、メリットが明確ではない。わたしたちは、政府はこれらの制限を撤廃することを検討すべきだと考える」と語る。

3つ目は、「ダイナミックプライシングの導入」。時間や天候、需要などに応じて、柔軟な価格設定を許可することで、乗客にとっての信頼性向上のほか、ドライバーやタクシー会社の収益も増加が見込めるとして、政府に検討を呼びかけた。

コスロシャヒCEOは、日本では、コロナ禍をきっかけに、2019年比で約6万人のタクシードライバーが廃業したほか、タクシードライバーの高齢化により新たな人材が増えにくいという問題を指摘。ドライバーを惹きつけるためには、さらに多くの取り組みが必要だとする。

特に、ドライバー不足は地方や郊外において深刻で、「2時間待ってもタクシーが来なかったり、公共交通機関やタクシー会社すらない地域も多い」と言及。そうした地域においてライドシェアは有効だと述べ、政府の対応を呼びかるとともに、Uberも交通課題の解決に協力していくと語った。

今回の来日は、同社のリーダーシップミーティングへの出席が目的とするが、キーパーソンとのミーティングなども予定しているという。誰と会うかは非公開。

日本のUberの事業では、Uber Eatsが順調で、世界トップ10に入る成功を納めている一方で、タクシーなどのモビリティ事業は苦戦している。コスロシャヒCEOは、Uber Eatsと同様に、忍耐強くブランドを構築し、サービス品質を高めていくと述べ、安全性や利便性を重視する姿勢を強調。その上で、ライドシェアへ期待しているという。

Uberでは、日本の23都市で約200社のタクシー事業者とアプリ配車事業を展開し、サービスを拡大しているが、「ライドシェアはタクシーとかぶるものではない」と語る。現在のタクシー会社によるライドシェアでも、東京では85%以上、京都では95%以上が、海外客の乗車となっており、空港や観光地などへの長距離利用が多い。結果としてドライバーの報酬アップにも貢献しているという。タクシー市場自体が、5倍以上になる国もあるなど、新たな機会としてライドシェアを捉えているとする。

ドライバーの収入も約3割伸びるなど、ドライバー不足に対する効果も高いとし、政府の決定を尊重しながらも、規制緩和を求める姿勢を示した。