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NTT Com、タクシーにAIドラレコ搭載で街の映像をビッグデータ化
2024年1月12日 16:05
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、タクシーなど街中を走行するモビリティから映像データを効率的に収集し、データを活用する映像分散管理プラットフォームサービス「モビスキャ」を、2024年度上半期に提供を開始する。モビスキャを活用したソリューション「AI道路工事検知ソリューション(仮称)」も同時に提供開始予定。
タクシー会社やバス会社などと提携し、AI機能とSIMを搭載したドライブレコーダーをエッジ端末として提供。タクシーなどのモビリティに取り付け、営業走行中の映像から、必要な情報のみを抽出して提供するサービス。
モビリティに搭載したドライブレコーダーに録画される映像データは、そのままでは1台で1日の撮影で5GBもの容量に達してしまい、データをそのままクラウドにアップロードして保存することは難しい。そこで、AIを搭載したドライブレコーダー側で必要なデータのみを判断し、容量を最小化してアップロードを行なうことでデータ容量を削減する。また、不要と判断されたデータもドライブレコーダーに搭載したSDカードに一定期間保存することが可能で、必要に応じてデータを利用できる。
たとえば、複数のモビリティが同じ場所の映像を通った場合でも、その中から最適な条件のものを選び出してアップロードを行なう。最適なデータは、映像を取得した時間帯やほかのデータ収集地点との距離、気象庁の天候データとの連携などにより選ばれる。収集した映像は人物や車両のナンバーなどにマスク処理を行ない、個人情報の保護にも配慮している。
n対nでの映像共有が可能で、地域内を走るモビリティパートナーが増えれば増えるほど、より網羅的で高品質な映像データを提供することが可能にななる。より多くのデータ活用パートナーとの協業も加速し、より安価に情報を提供できるビジネスモデルを目指す。
また、ドライブレコーダーを搭載するモビリティとしては、タクシーだけでなく、将来的にはドローンなどにも搭載し、スポット的な映像を取得するニーズにも応える予定。
道路工事現場をパトロール
モビスキャの提供開始に合わせてサービスを開始するのが「AI道路工事検知ソリューション」。岡山県と愛知県で6月まで実証実験を行なう予定。
ガスや電気、通信などのインフラ事業者は、埋設した設備が破損することのないよう、設備が埋設されている道路上で、事前に把握していない工事が行なわれていないか、日々社用車でパトロールを行なっている。
そうした事業者らは、週に最大6回のパトロールを行ない、パトロールには専用車両が必要なためコスト負担も高く、人員の確保も課題とされている。
「AI道路工事検知ソリューション」では、モビスキャを活用し、モビリティパートナーの車両に搭載されたドライブレコーダーからの映像を提供することで、実際の街中を目視確認するのと同等の映像を提供する。
収集した映像は、2段階のAI判定が行なわれる。ドライブレコーダー側のAIは、事前に指定した工事用コーンなどの物体が検知された場合のみ、検知時点から前後5秒、合計10秒の映像をサーバーへアップロードする。サーバー側のAIは、アップロードされた映像を分析してスコアをつけ、一定以上のスコアに到達した映像のみをユーザーに提供する仕組みで、特許取得済の技術。サーバー側AIの画像解析に活用されている画像認識技術は、ドコモが開発した。
実証実験でモビリティを提供するのは、岡山エリアでは岡山電気軌道、岡山交通、愛知県エリアでは、名鉄タクシーホールディングス、佐川急便。データを活用するパートナー企業は、岡山エリアでは岡山ガス、愛知エリアでは東邦ガスネットワーク。技術パートナーとして、JVCケンウッド、両備システムズが参加する。
今後は、随時パートナー企業を拡大しながら、新しいユースケースを検討。電機業界向けとして電柱の破損検知ソリューションや、自治体向けの道路のひび割れ検知ソリューションなど、さまざまなニーズに応じた展開を予定。混雑状況の把握や災害対策、開花状況の観測など、幅広い用途での活用も検討し、2027年にサービス収益約30億円を目指す。