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音対策から“非日常系”まで 最新オフィス家具が集結「オルガテック東京2023」
2023年4月27日 08:40
ドイツ発の国際的なオフィス家具の展示会を東京で開催する「オルガテック東京2023」が4月26日に開幕、28日まで催される。場所は東京ビッグサイトの西展示棟1・2号館。東京で初開催となった前回から会場面積は倍増、国内外から130社が出展する。初参加は78社。
コロナ禍を経て、オフィス・家庭の「働く場所」のあり方は今なお変化しており、会場の展示からは、そうした現在の課題に応えようとする傾向がみられた。
オフィス向けでは、Web会議の定着に伴う新たな課題として音に注目、吸音材や指向性スピーカーを駆使した製品が登場している。無機質なワークブースに国産のヒノキ材を使うといった新たな試みもある。“屋外家具”を展開するブランドが出展、グラインピングや焚き火といったシーンとの融合を図るかのような、“非日常系”の製品も紹介されている。
家庭向けには、仕事で便利に使えてリビングにもなじむデザインの家具が増加。従来のオフィス然としたデザインが多いブランドでも、家庭向けを意識したデザインの製品がラインナップに加えられており、それらを中心に紹介しているブースもある。また家庭もターゲットにして電動昇降デスクを中心に展開するブランドが出展している。
このほか環境に配慮したリサイクル素材を使う製品が大手や有名ブランドでも増え、積極的に紹介されている。
最新製品と環境配慮の展示 オカムラ
オカムラは2022年11月に新製品群を発表しており、これらが展示されている。人流を意識し縁側や小路でコミュニケーションの活性化を図る大型の製品「ワークヴィラ」や、天井への工事なしで間仕切りを自由に配置できるようにする「ライブス アーキテクチュラル プロダクツ」などがブースの中心。またワークチェアのトップモデル「コンテッサ」をはじめ、リサイクル素材を積極的に採用する製品も紹介されている。
音が外に漏れないソファ イトーキ
イトーキは、スピーカーやマイク、ディスプレイといった電子機器もセットにした「スマートオフィス製品」に注力している。4月24日に発表された「sound sofa」(サウンド ソファ)は、オフィスのオープンスペースに設置されることを想定したボックス型のソファで、首の後ろあたりに指向性スピーカーを搭載しているのが特徴。
実際に体験してみたところ、ブースに入って座るまでは、スピーカーから出ている音がほぼ聞こえないという仕上がりになっていた。使用者が、発言側よりも聞き手側に回ることが多い場合なら、Web会議で便利に使えそうという印象だった。
なお、マイクは集音範囲が絞られているものの、このブースに遮音性があるわけではないので、周囲に大きな声で喋る人がいるとマイクは声を拾ってしまう。ちなみにモニターやWebカメラ、マイクもセットにして販売されるとのことだった。
消音パーティション イナバとヤマハ
イナバインターナショナルのブースは、スチール材の加工技術や高い剛性構造を駆使した大小さまざまな「サイレントブース」が展示されている。オープンなデザインが広まるオフィスにおいて、集中して仕事をする、数人で集まって会議をするなど、さまざまな用途に使えるサイズ展開になっている。
また、ヤマハ製の平面スピーカーを内蔵したパーティションを組み合わせ、音対策が施されたミーティングブースを簡単に構築できる製品も販売中で、ブースで紹介されている。搭載されるスピーカーは高い指向性のスピーカーで、パーティションに内蔵される吸音材と組み合わせて、スピーカーの音が外に漏れにくいという仕組み。四方をパーティションで囲うと、外からの音も入りにくくなり、Web会議を快適に行なえる。
シンプルなミーティングスペースのパーティションとして使う場合も、ヤマハが開発した“マスキング音”をスピーカーから外に向かって流し、ミーティングの会話を聞き取られにくくする機能も用意されている。
環境配慮型の新チェア「Rena」 プラス
プラスは2022年11月に発表していたオフィスチェアの新製品「Rena」を展示。特徴でもあるリサイクル・バイオマス素材も紹介している。
また、ノルウェーのブランド「HAG」(ホーグ)のユニークなチェア「Capisco」を、カラーバリエーションとともに展示。このチェアに座りながら行なうストレッチなども動画で紹介している。
オフィスチェア+フィットネスバイク フレキシスポット
フレキシスポットは電動昇降デスクの製品ラインナップを展示。家庭用の「ゲーミング」カテゴリーの製品から、一般的な家庭でも使えるサイズ、会議用の大型サイズまで、さまざな製品が紹介されている。電動昇降デスクは家庭においても利用シーンに合わせて高さを選べ、プライベートと仕事で使い分けられるとして注目されている。
目を引くのはオフィスチェアとフィットネスバイクを合体させた「FlexiSpotフィットネスチェアV6」。高機能なオフィスチェアの座面から下がフィットネスバイクになっており、ワークスペースが“ワークアウト”スペースにもなるというもの。軽いエクササイズを想定するが、健康維持の時間を捻出したい人には注目といえそうだ。
リビングになじむデザインを追加 アイコ
オフィス家具のアイコは、従来的なオフィス向けのチェアやデスクを多数ラインナップしているが、テレワークなどの増加を受けて、家庭でもなじむようなレトロ風のデザインを採用したチェアやデスクをラインナップに加えており、ブースではこれらを中心に紹介している。キャスター付きもあり、オフィスチェアとしても便利に使えるようになっている。
ヒノキで作ったワークブース 関家具
関家具はさまざまなブランドで家具を展開しているが、オフィス向けには国産ヒノキを使用したワーキングブース「FOCUS」(フォーカス)を発表している。どちらかというと無機質なデザインが多いオフィス向けのワーキングブースに国産の天然木を採用したのが特徴で、熱を伝えにくい木材の特製から、冬は暖かく、夏はひんやりとした空間になるという。
採用する木材は国産ヒノキのCLT(Cross Laminated Timber、直交集成材)で、厚みを出せるほか、断熱性、遮熱性、遮炎性、遮音性など副次的な効果も多い素材という。地域の国産木材を活用した製品となり、オフィスのほかホテルや図書館、官公庁舎などの施設とも親和性が高いとしている。
回転するパーソナルブース キルト工芸
キルト工芸は、回転するパーソナルブース「den」を紹介している。座面とデスク、半球状の壁を備えたボールチェアのデザインで、リラックスして座るスタイルと机に向かうスタイルを両立。1本の柱で支えられ、回転するようになっている。
マーク・ニューソンのワークチェア ノル
アメリカのブランド「Knoll」(ノル)からは、「Knoll Office」と「Knoll Textiles」の製品群が紹介されている。ワークチェアは、マーク・ニューソンがデザインした新製品「Newson Task」を展示。背もたれには柔らかく体に追従するハニカムメッシュのエラストマー素材が使用されているほか、赤い操作パーツが見た目のアクセントになっている。
すべて“屋外家具” ニチエス
ガーデンファニチャーのニチエスは、テラスや庭、ウッドデッキなどで使える「屋外家具」を展示している。屋内と屋外を行き来することで「五感を刺激しながら働く」という新しいワークスタイルを提案するもので、展示された製品はすべて、屋外で使用できる耐候性素材を使用し、洗濯可能で、屋内外どちらでも利用できる。
幌を備えた円形のソファ「オービット」のほか、吊り下げられて揺れるオープンエアフレームのラウンジチェア「キダ」など、リラックスできそうな製品が目を引く一方、大人数で食事や会議ができそうなデスクとチェアもある。直径2m、高さ2.7mの大きな編みカゴ(ネスト)に入る「ネストレスト」は、会場で最も目立つ製品だった(350万円ほどする)。
リサイクル素材のチェア新製品 ウィルクハーン
ドイツのオフィス家具ブランド「ウィルクハーン」は、シンプルで美しいデザインのチェア新製品「320 range Yonda」(ヨンダ)を紹介している。
この製品は環境配慮型の素材を採用するだけでなく、製造時に使われる処理剤や製造方法まで、すべての工程で環境に配慮した選択がなされているという製品。
リサイクル素材で作られるプラスチックにはじまり、天然オイルのみで表面仕上をしたFSC認定の木材、リサイクルスチールのレッグ、リサイクルアルミのキャスターベース、リサイクル素材や環境認証を取得した素材の生地などが用いられ、製品の質量の約半分がリサイクル材料で作られる。またほとんどすべての材料を再びリサイクルできる。