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通訳コスト大幅減する「ポケトーク」ビジネス版 OpenAIの技術も
2023年3月14日 14:42
ポケトークは、3つのサービスからなる法人向けのシリーズ「ポケトーク for BUSINESS」を発表、サービスの提供を開始した。
「ポケトーク for BUSINESS」には「同時通訳」「カンファレンス」「ムービー翻訳」の3つのサービスがラインナップされており、個別に契約が可能。いずれもAIや機械翻訳、音声読み上げ機能などを駆使して自動的に通訳・翻訳を行なうサービスとなる。
OpenAIの技術で長文にも高精度で対応
「同時通訳」は、2022年10月に発表されていたサービスを正式に提供するもので、発表時から機能・性能の向上も図られている。
「ポケトーク for BUSINESS」シリーズの音声認識部分は、新たにOpenAIの「Whisper」を採用しており、特に一文が長い会話や、マイクから離れて喋っている場合についても、高い認識精度を誇るとしている。
具体的な機能は「オンライン会議」「対面会議」「自動文字起こし」「動画視聴」の4つが用意される。「対面会議」は、外国語話者が同じ会議室にいるようなシーンで、手元のPCに同時通訳の結果をリアルタイムに表示できる機能。「動画視聴」は、翻訳が提供されていない海外の動画やライブ配信を視聴する際に、同時通訳を追加できる機能になっている。
「同時通訳」の利用料は月額2,200円で、毎月30分までは無料。PC向けソフトウェアのダウンロードだけで準備が完了する。4月16日までは無料かつ時間制限なしで利用できる。Windows版が3月14日に発売、MacOS版は近日中に発売される。
スマホが同時通訳レシーバーに
「カンファレンス」は、大規模な講演などにおける来場者向けの同時通訳をポケトークのシステムで実現するサービス。提供時期は2023年の夏頃を予定する。
講演イベントなどでの同時通訳のシステムは、機材や人材の手配に1日だけでも数百万円と大きなコストがかかるが、それらのコストを大幅に削減するというもの。価格の目安として、8時間で1,000名規模の講演イベントの場合、従来なら最低でも1回で200万円かかるところが、「ポケトーク for BUSINESS カンファレンス」なら「1/20以下」としている。
専用機材が不要で、来場者は手持ちのスマートフォンで会場のQRコードを読み取り、Webブラウザで専用サイトにアクセスして同時通訳を利用する。この専用サイトでは、登壇している外国語話者の話している内容がリアルタイムに翻訳されテキストで表示されるほか、音声読み上げ機能も備えており、スマートフォンにイヤフォンを接続するなどして、同時通訳を聞くことができる。また画面に表示された翻訳テキストは資料として残すことも可能。
翻訳動画をすぐに作れる「ムービー翻訳」
「ムービー翻訳」は、制作された動画に対して、翻訳された字幕・音声を後から追加するサービス。提供時期は2023年の夏頃を予定する。
社内研修用の動画など、すでに完成している動画に対して、後から翻訳字幕や翻訳音声を付ける場合、専門業者に依頼すると最低でも30分あたり90万円がかかるという。「ポケトーク for BUSINESS ムービー翻訳」ならこれが「1/30以下」になるとしている。また事前の打ち合わせなどが不要で、作業は動画をアップロードするだけで、すぐに利用できる。
通訳コスト大幅減で海外とのコミュニケーションを活性化
ポケトークはOpenAIと協力し、ChatGPT APIをはじめとしたほかの技術も採用していく予定。「ポケトーク for BUSINESS」シリーズに限らず、ポケトークのサービスで展開していくとしている。
ポケトーク 代表取締役社長の松田憲幸氏は「今までで一番エキサイティングな発表」と述べ、音声を含めた「同時通訳」を中心にして、ビジネス向けシリーズを揃えたことに期待を語る。
ビジネスシーンではグローバル化が進む一方、通訳のコストが高く、来日や講演の機会を諦めるといったことが起こっていると指摘、通訳コストを大幅に削減でき、コミュニケーションを活性化できるのが「ポケトーク for BUSINESS」の最大の特徴とする。
また、国策としてスタートアップ企業を支援する経産省の取り組み「J-Startup」に対し、ポケトークが民間サポーターとして参画、スタートアップ企業にサービスをディスカウント提供するなどしていく。
ポケトークのコンシューマー向けサービスは観光シーンが主なターゲットだったが、「ポケトーク for BUSINESS」は日本企業のグローバル展開にかかる通訳・翻訳コストの大幅な削減を狙い、幅広い分野での展開を見込む。売上規模は2027年までに200億円規模を目指すとしている。