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楽天ペイが「タッチ決済」を強化する理由

楽天ペイメントは8日、「タッチ決済市場と楽天ペイ成長戦略」についての説明会を開催し、タッチ決済を軸に楽天カードと楽天ペイの連携を強化する方針を示した。

同社では10月から、「楽天ペイ」アプリにおいて、楽天カードのタッチ決済機能を追加している。NFC機能搭載のAndroidスマートフォンが対象で、楽天ペイアプリ上で対象の楽天カードを登録することで、VisaとMastercardのタッチ決済に対応する店舗でスマートフォンをかざしてタッチ決済が行なえるようになる。コード決済アプリで、「タッチ決済」に対応したのは楽天ペイが初。

楽天ペイアプリは、QRコード決済機能が軸になっているものの、Suica連携にも対応しており、ここに楽天カードの「タッチ決済」も追加した形だ。これにより、楽天カードのプラスチックカードにタッチ決済機能が付いていない場合でも、楽天カードのブランドがVisaかMastercardであれば、スマートフォンのNFCを使って店頭でVisaかMastercardのタッチ決済を利用できる。

コード決済と異なり、アプリ立ち上げ不要でスマホをかざせば決済できること、電子マネーのようなチャージが不要なこと、カードと異なりサインや暗証番号が不要なことが、楽天ペイの楽天カードタッチ決済の特徴となる。

また、楽天ペイは国内が中心だが、楽天カードのタッチ決済対応により、「海外でも同じように支払える」。この点も楽天がタッチ決済を推進する理由の一つで、楽天ペイメント 楽天ペイ事業本部の奥村祥語氏によれば、実際にシンガポールでも先週問題なく使えたとのこと。

楽天ペイメント 楽天ペイ事業本部 マーケティング&編成部 ユーザーマーケティンググループ マネージャー 奥村祥語氏

日本のキャッシュレス比率は3割を超え、32.5%まで拡大してきたが、8割を超えるアジアの他の国と比べると「まだポテンシャルがある」(奥村氏)とする。さらに、政府からは2025年にキャッシュレス比率40%を、さらに「'30年には100%を目指すべき」との提言も出ていることから、楽天でも「ゼロキャッシュ」を目指した取り組みを進める。

日本におけるキャッシュレスの決済手段では、比率ではコード決済が伸びているが、「クレジットカード」も堅調に伸びており、キャッシュレス支払手段の中ではもともと大きなシェアを持っている。そのため、「カードとともにキャッシュレスを進めていく」ことが楽天ペイメントの基本戦略となる。

また、クレジットカードのタッチ決済(NFC Type-A/B)は日本国内でも広がりつつあるほか、世界ではVisaの対面決済におけるタッチ決済の割合が50%を超えており、クレジットカードの基本的なインターフェイスといえる状況になる。

そのため、楽天ペイメントでは、楽天ペイのコード決済以外でもオンラインやタッチ決済など様々なインターフェイスを選んで支払いできるようにし、その中でチャージや貯める、支払う、送るなど全ての機能を楽天ペイアプリにまとめていく方針。タッチ決済の追加もこの方針の一環となる。リップルマークがあるお店であれば、国内だけでなく国外でも利用できるため、「日本だけでなく世界中で利用して、楽天ポイントを貯められる」とアピールする。

スタートしたばかりの楽天ペイのタッチ決済だが、一回あたりのコード決済利用額も向上し、一回あたりの利用金額が107%となっているなど、ユーザーのロイヤリティが高まっているという。また、楽天カードチャージによる残高払いのポイント付与も1.5%と高いことも、特徴として訴求していく。

従来は、Android端末における「楽天カード」のタッチ決済は、QUICPayのみの対応だったが、NFCのタッチ決済により利便性を向上し、海外対応も充実させていく。なお、楽天ペイアプリの楽天カードタッチ決済は、現時点ではiOSに未対応。