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電力「需給ひっ迫警報」発令。夕方ピークに向け余力なし
2022年3月22日 13:02
経済産業省は22日、電力需給が厳しくなる見込みのため東京電力管内で節電の協力を要請し、「需給ひっ迫警報」を発令した。22日8時から23時まで「節電」を要請し、エアコンは20度程度、使用していない照明を消すなどの対応を呼びかけている。また東北電力管内においても需給ひっ迫警報が発令された。
この需給ひっ迫警報は、あらゆる需給対策を踏まえても、予備率が3%を下回る見通しとなった場合に発令される。第33回電力・ガス基本政策小委員会(2021年4月20日)の資料によれば、警報発令・節電要請等を行なったあとも、予備率が1%を下回る見通しの場合、大規模停電を避けるため、「計画停電」の実施を行なうこともあるとする。
電力の安定供給に“最低限”必要な予備率(余力)は3%が目安となっているが、22日の東京電力は供給力に対するピーク時(16-17時)の需要が100%となっており、まったく余裕がない状態になっている。午前10時の実績では供給力の4,393万kWに対して、実績値が4,455万kWとなり、供給を上回る需要が発生している。供給を上回る需要については、揚水発電所の出力増で対応しているが、水を汲み上げて発電する揚水発電所は水を落としきったら発電できなくなってしまう。
東京電力パワーグリッドでは、22日から揚水式水力発電所の発電可能容量(kWh)の残量をTwitterで公開し、夕方のピークまで揚水発電をセーブできるよう、節電への協力を呼びかけている。午前16時時点の残量は49%。
東京電力は15時ごろ、このままの状況が続くと、夜20時以降に揚水式水力発電の運転が停止し、「約500万kW(200万~300万軒規模)の停電が発生するおそれがある」と告知。さらに毎時200万kW程度の節電が必要と、協力を呼びかけている。
東京電力・東北電力エリアでは、3月16日の福島県沖の地震の影響で火力発電所計6基334.7万kWが停止中。加えて、悪天候で気温が低い状況が続く中、太陽光発電量が増えず、暖房需要が増加するという状況にある。東京電力らは他の事業者からの電力融通を行なっているものの、電力需給が極めて厳しい状況となっている。
そのため、エアコンは20度程度、使用していない照明を消すなど、家庭や職場でできる範囲の節電を呼びかけている。無理のない省エネ節約については、経済産業省などでも紹介している。なお、23日は天候回復により電力需要に余裕ができる見込み。
【更新】15時時点の状況についてアップデート(16時30分追記)