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あえてクレカレスな人にアプローチ。「atone」と日本の後払い
2021年9月16日 16:24
ネットプロテクションズは、後払いサービスの「atone」の法人向けリブランディングを実施し、「クレカレス」なユーザーにアプローチする方針を決定。同社の「NP後払い」とのユーザー連携などを進めながら、拡大する後払い(BNPL)市場での成長を目指す。
atoneは、EC・実店舗などに採用され、利用者の支払いをまとめて翌月払いできる後払いサービス。会員登録して利用すると、アプリで利用状況が確認でき、利用代金の0.5%のポイントがもらえる。利用上限額は5万円。
今回、atoneのタグラインを「あえてクレカレスな490万人にアプローチ 明瞭さで選ばれる決済プラットフォーム」に設定し、対象ユーザーやサービスのコンセプトを定義。クレジットカードを持てない、持っていても利用状況がわからず不安という課題に対して、ポイントプログラムやわかりやすさ、使いやすさなど、「他の支払い方法では満たせないニーズ」を備えた後払いサービスとして、atoneを展開していく。
そのため、今後atoneのサービス改修を順次行なっていく予定で、atoneと同社のNP後払いの会員基盤統合や、atoneを用いたログイン、API接続などの強化を予定している。
「NPポイントクラブ」(NP後払い)と「atone」が存在する会員基盤をひとつに統合する。これにより、全490万人のNP会員がスムーズに「atone」を利用できる状態を作る
atoneのアカウント情報を引用して情報入力ができるようになる。これにより、ECサイトの会員登録や決済においてユーザーが情報を手動入力する際の手間/ミスを削減。事業者においては、カゴ落ちの減少によるCVRの改善が見込める。同機能はリリース以降、カートシステム経由でも提供可能な状態にすべく、順次連携を進める
月内の最大利用上限金額をユーザー自ら設定できるようになる。利用金額を自己管理しやすくする
累計2.8億件超の顧客/購買/与信データの分析を基盤とし、事業者ごとに最適化された費用対効果の高い販促キャンペーンや露出面の提供をしていくことを強化。継続的な定着が見込める親和性の高いユーザーとの出会いを生み出す
従来のモーダル接続方式に加え、API接続方式での導入が可能とし、atoneを導入しやすくする。機能はリリース以降、カートシステム経由でも提供可能な状態にすべく、順次連携を進める
導入にあたり開発が必要なインターフェースを「NP後払い」と統一することで、一度の開発で「NP後払い」と「atone」が導入可能になる
日本ならではの後払い
日本のほか海外でも後払いサービスが「BNPL(Buy Now, Pay Later)」として注目を集めている。8日には日本の大手「Paidy」をPayPalが買収するなど、国をまたいで大きな動きを見せている。
ネットプロテクションズは、欧米でのBNPLの拡大は、クレジットカードの手数料を忌避した若年層がカード→BNPLにシフトしていることによると分析。東南アジアは信用スコアなどが問題でカードを持てない人がBNPLが支持されているとしている。一方日本においては、「クレジットカードを持っていても後払いを好む人が増えている」という。
ネットプロテクションズは、NP後払いやatone、BtoBのNP掛け払いなどを展開し、年間取扱高4,300億円と後払いサービス大手だが、毎年数10%規模で取扱高を拡大している。日本においては、ECでの決済時のクレジットカード以外の有力手段の後払い手段として支持を集めてきたが、最近は前述のように日本では、クレジットカードを持っていても後払いを好む人が増えている。これは「決済の選択肢の多さ」がECで重視されるためで、カードには、「利用額がわかりにくく使いすぎが心配」「金利が怖い」「仕組みが複雑」といった不安要素があるため、商品やサービスによって、“カード以外”の支払いを意識的に選んでいる人がいるという。
atoneは、そうしたユーザーに対し、支払いが簡単で価格が明瞭、支払いすぎのリスクを避けられるといった点で支持を得ていると分析。自社のポイントプログラムとあわせて、「他の支払手段ではカバーできない独自の顧客を抱えている」とする。
同社のもうひとつの後払サービスである「NP後払い」との棲み分けについては、NP後払いは、「都度の請求で上限5万円まで。紙の請求書が届いて、コンビニ払いする」というサービスで、会員登録が不要で初回利用のハードルの低さが特徴となる。
一方、atoneは、「請求が月まとめになり。紙だけでなくデジタル(アプリ)でのコンビニ払いや口座振替に対応」という点が大きく異なる。そのため、NP後払いとatoneは別のサービスとして展開しながら、今後の会員基盤統合により、多くのNP会員がatoneを使いやすくしていく。
また、店舗においては、手数料がカードより安いことと、カードと重複しないatone独自の顧客基盤が「他では出会えないユーザーに出会える」と支持されているという。この点を武器に採用拡大を図っていく。