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ヤフー、カーボンニュートラルをテーマに2.5億円の企業版ふるさと納税
2021年8月24日 16:22
ヤフーは、企業版ふるさと納税の寄付先となる地方公共団体を公募する「Yahoo! JAPAN 地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」の第1弾の寄付先を発表した。北海道三笠市、宮城県、埼玉県、神奈川県平塚市、新潟県、山梨県、三重県尾鷲市、鹿児島県大崎町の8つの地方公共団体に総額2.5億円のふるさと納税を行なう。
同プロジェクトは、カーボンニュートラルに向けた取り組みに対して、企業版ふるさと納税の制度を活用して、支援を行なうもの。4月から公募し、応募した地方公共団体から8団体を選定。順次寄付を行なう。カーボンニュートラルをテーマにした企業版ふるさと納税の公募は国内初。
企業版ふるさと納税は、地方公共団体が行なう地方創生の取り組み「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に対し、企業が寄付をすると、法人関係税が税額控除される制度。2016年より開始し、対象となる地方公共団体の数は46道府県1,185市町村となっている。
ヤフーでは、持続可能な社会の実現に向けて、地球温暖化対策を目的とした気候変動問題への取り組みを推進しているが、その一環として、地方公共団体が行うカーボンニュートラルに向けた取り組みに対して寄付を通じた支援を行なうことで、国内の脱炭素化を促進する狙い。
審査のポイントは、「脱炭素に対する直接的なインパクトがあるか」「独自性。地域性があるか」「横展開可能なモデルとなりうるか」の3点。寄附金額や選定理由は以下の通り
北海道三笠市
・石炭採掘跡へのCO2固定(1億円)
閉山炭鉱の採掘跡にCO2を注入し固定させる技術の研究事業。これが実現すれば、石炭から水素を作成する過程で発生するCO2を固定でき、カーボンニュートラルな水素産出が可能になる。
・選定理由
閉山炭鉱の採掘跡への炭素固定という地域性・独自性とCO2固定量のインパクトが大きい点を評価。これが実現すれば、太陽光などでは冬場電力が確保できない場所におけるエネルギーの地産地消の実現が可能になるとともに、他の地域にも横展開が期待できる。
宮城県
・海岸防災林の適正管理、藻場造成(2,688万5,000円)
宮城県の海岸防災林の適正管理と海藻養殖や藻場造成により、森林・海洋による炭素固定の役割を最大限発揮させる。
・選定理由
宮城県の森林と海という特性を生かした炭素削減の取り組みを、民間・自治体の横断的連携で実施するという点を評価。また、海藻による炭素固定については定量的な評価事例を示すことによる横展開も期待できる。
埼玉県
・中小企業向けCO2見える化事業(758万1,000円)
取り組みの遅れている中小企業のCO2削減対策として“削減対策を見える化”し、企業が自身の取り組みの程度を把握し対策を継続的に実行できるよう支援を行なう。
・選定理由
県が補助金などを活用してフォロー・推進していこうとしている点を評価。中小企業のための堅実な施策として支援したい。
神奈川県平塚市
・波力発電の商用化と漁船の電池推進船化、発電所周辺の藻場造成(2,400万円)
波力発電の商用化の目標を2025年に定め、漁業の脱炭素化に有効な電池推進船について実証実験を実施。また、波力発電所を活用した藻場造成によるCO2固定の実証実験も実施する。
・選定理由
波力発電の研究開発については今までも5年ほどプロジェクト実績があり、多様なステークホルダーを巻き込んでいる点を評価。海に面している平塚市の特徴を生かした施策であり、同様の地形を持つ地域への横展開の可能性もある。
新潟県
・一次産業による温室効果ガスの排出抑制・削減・吸収源対策(393万8,000円)
水田のメタンなどの発生抑制や天敵利用などによる化学農薬削減により、温室効果ガスを排出抑制・削減。また、海藻の増養殖技術開発などにより温室効果ガスの吸収源を増加させる。
・選定理由
新潟県という地域の特性にフォーカスを当てた農林水産業それぞれの脱炭素施策となっており、県の研究成果を使って課題解決し、それを横展開しようとしている点を評価。
山梨県
・果樹園での土壌炭素固定(1,038万8,000円)
今まで焼却していた果樹の剪定(せんてい)枝を、煙の発生が少ない炭化器を利用して作成したバイオ炭にして土に埋めることなどにより、二酸化炭素を長期間土壌中に貯留する。この取り組みにより生産された県産果実を「脱炭素社会の実現に貢献する農産物」として、新たなブランドを創造し販路開拓につなげる。
・選定理由
フルーツ王国とも言われている山梨県の、果樹園が多い特徴を生かした取り組みである点を評価。本件がきちんと検証され、県内で普及が進めば、他県への横展開も可能となる。
三重県尾鷲市
・尾鷲ヒノキ市有林の若返り(2,560万円)
尾鷲ヒノキ林業という江戸時代から続く伝統林業の森を守りつつ、CO2吸収量が少なくなった樹齢の高い木の植え替えを定期的に行い、伐採した木の木質化を図る。また、尾鷲市の森林のふもとにある九鬼湾で、藻場造成やブルーカーボンの取り組みを推進する。
・選定理由
尾鷲ヒノキという伝統を守るとともにCO2を削減していくという点に独自性あり。植林作業は結果が出るまでに時間がかかるが、そこも含めて計画している点も評価。