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メルカリ初の通期黒字。3本柱の成長とグローバル・BtoC強化へ

メルカリは12日、2021年度通期連結決算を発表した。売上高は1,061億円(前年比39%増)、営業損益は51億円で上場来初の通期黒字化となった。メルカリは日本(JP)/米国(US)で売上成長したほか、上半期の広告宣伝費抑制や下期には収益基盤が貢献した。

また、CtoC展開だけでなく、事業者・ビジネスから消費者向け(BtoC)や、グローバルでの事業拡大についても説明。メルカリの山田進太郎CEOは、メルカリのミッション「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイス」の先の未来についても言及し、新たなテーマを、地球の限りある資源を次の世代と共有し、環境課題の解決に寄与する「プラネット・ポジティブを目指す」とした。

CtoCからすべての人のマーケットプレイスに。グローバル展開も

メルカリは、これまで個人間の取引を軸とした「CtoC(消費者間)」のマーケットプレイスとして展開してきた。しかし、8月には企業・事業者もメルカリ上で商品を販売できる「メルカリShops」をスタートするなど、BtoC(企業-消費者)まで事業領域を拡大しつつある。さらに、今後は米国以外のグローバル展開やNFTを使ったデジタルアセットの交換、個人のスキルの取引なども新たな領域への拡大の可能性も検討していく。

新たな事業領域については、「決定したものはないが、基本的には既存事業とのシナジーがある部分」(山田CEO)と言及。グローバル展開の地域については、「全くの未定だが、地域・国でいうと、CtoCのオークションの市場規模がある地域を考えると、欧州全体は一つの選択肢。米国と同じぐらいの大きなマーケットがある。また、アジア、インドなどの新興国もあり、フラットに可能性を考えていく」とした。

メルカリ、メルペイ、メルカリUSの「3本柱」に加え、2022年度は暗号資産やNFTに関連する事業を担うメルコイン、事業者向けの「メルカリShops」を担うソウゾウがスタート。「ずっと黒字を続けるというよりは、将来利益最大化を目指し、グループの新たな成長に投資していく」(山田CEO)。

メルカリ好調。パーソナライズやWeb強化

2021年度の日本のメルカリ(メルカリJP)は、GMV(総流通額)が前年同期比25%増の7,845億円、調整後営業利益率32%。目標としていたGMV+20%以上、調整後営業利益率30%以上を達成。売上高は751億円。

2021年度の好業績の一因が出品の強化。MAU(月間アクティブユーザー)が約600万人増加したが、出品者も約600万人増加した。梱包発送の簡便化やオフライン施策の強化に加え、マーケティング施策により中高年世代のユーザー数が拡大したという。

2022年度も引き続きMAUの増加の方針は継続するが、さらにARPU(一人あたりの購入金額)の上昇を狙う。具体的な施策としては、ホーム画面のパーソナライゼーション強化や、検索体験の改善のほか、特定カテゴリーにおける提携やWeb強化などを予定している。

Web強化については、「(2021年にWebを強化し)WebのGMVが増えてきているが、アプリとWebを比べるとまだ機能差が大きい。まずはそこを埋めていきたい。中高年代のユーザーはWebが好まれる面もあり、ユーザー獲得にもつながる。成長ポテンシャルがあると思っている」(小泉文明会長)とした。

小泉文明 会長

メルペイは「与信」を軸に成長。3本柱+新規事業で成長

2021年度のメルペイは、利用者数が前年比322万人増の1,067万人となったほか、本人確認済み比率が8割を超えた。本人確認増により「与信」を中心とした収益力を強化し、5月には単月黒字化した。

2022年度は収益基盤を確立し、「定額払い」の利用残高を積み上げていく。少額融資サービスの「メルペイスマートマネー」やグループシナジーを生かした新サービスも提供し、「モノ」「お金」の循環に加え「信用」を加えた「循環型金融」の実現を目指す。

具体的な施策としては、決済面ではバーチャルカードの認知・利用促進や、日常利用の加盟店開拓などを予定。与信においては、AI与信に関するライセンスを取得し、与信を中心とした収益基盤の確立を目指す。また、ビットコインを活用した資産運用も検討する。

メルコインは、サービス開始に向けた事業を本格化し、暗号資産交換業者のライセンス取得を予定。メルカリの売上金をビットコインで受け取れる機能や、ビットコインを活用した資産運用サービス提供などを予定している。

メルカリUSは、GMVが前年比72%増の11.7億ドルとなり、第4四半期には初の営業黒字を達成。スーパーボウルにおけるテレビCMなどの認知拡大やWebの改善、配送方法の改善などを行ない、MAUは461万人となった。2022年度は翌日配送サービスの拡大やAIやデータを活用した検索エンジンの改善、パーソナライゼーションの進化などを行ない、「最も使いやすく安全なオールジャンルCtoCマーケットプレイスを目指す」という。

「3本柱」の成長とともに、ソウゾウ(メルカリShops)、メルコイン、グローバルなど新たな領域に投資。また、気候変動への対応やD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)も重点領域として取り組む。