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三菱ふそう、最適な配達ルート作成するシステム。オートロックマンションも判別

三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は、AIと機械学習を活用した配送計画ソフトウェアを開発するWise Systemsと業務提携を締結した。これにより、MFTBCはWise Systemsの日本国内パートナーとして、同社開発の次世代配送計画システム「ワイズ・システムズ」の販売を、2021年第4四半期より開始する。

ワイズ・システムは、AIと機械学習により、配送ルートの作成などを自動化するもの。専用ハードウェアの設置が不要で、車両メーカー問わず利用ができる。配車担当者がPCで作成した配送ルートをドライバーがスマホで受信し、配達を行なう。

配送のラストワンマイルに着眼した配送計画システムで、配送オーダー、荷物、ドライバーや車両、交通状況といった配送に関連する情報を取り入れ、ルート計画アルゴリズムが配送ルートやトラック及びドライバーを選定。最適な配送計画をワンクリックで自動作成できる。従来は、ベテランの配車担当者が行なっていた作業を、機械学習により最適なルートを学び続けることで、回数を重ねる毎に最適な配送計画を提案するようになる。

ルート計画では、走行時間と現地での搬入などの作業時間を別々に計算することで、総合的な誤差を抑える。たとえば、一戸建て住宅への配達と、高層オートロックマンション、小売、レストランへの搬入ではそれぞれ作業時間が大きく変わる。これを実績平均や荷物量だけで計算すると計画がずれてしまう。走行時間と作業時間を分けることでこのギャップを縮めることができる。

ルート計画を実行したところ
吹き出しの色はドライバー、数字は配送順

ルート計画実行後に発生した誤差も学習。自動的に次回のルート作成に活用する。たとえば、15分で完了する配送時間が実際には20分であった場合、次回以降にそのデータが活かされる。配送中に渋滞が悪化した場合など、リアルタイムの情報もとりいれ、状況に合わせて新たなルート計画を配信してくれる。また、リアルタイムでの配送の遅延状態も一覧で把握できる。

遅延をリアルタイムで確認

ルートの手動による変更も可能で、自動作成したルート計画から手動で配送人員数を変更したり、配送先の順番を変更した場合、自動的にルート計画全体を再構成し、発生する誤差などもその場で表示する。

手動でルート変更も可能
手動でルートを変更するとそれに合わせた計画のズレを表示

これらの機能により、配車担当者が全ての配送計画をより正確に把握できるようになる。

ドライバーは、スマートフォンでルート計画を受信。提示された計画通りに配送を行なっていく。配送の状況などは適宜、スマホ操作で簡単に入力でき、これにより情報の精度がさらに上がっていく。現在の配送の進捗状況も把握できる。ドライバーの負担を総合的に軽減することでドライバー定着率も向上するという。

ドライバーはスマホで自分のタスクを確認
ドライバーの手元でも遅延を確認可能
配達時の写真も撮れる
進捗の確認が可能

ワイズ・システムは、専用ハードウェアが不要のため、デジタル化が進んでいない事業者でも導入ハードルが低い。また、自社システムがあるケースでは、API連携により既存システムとの統合も可能で、ワイズ・システムのアルゴリズムのみを利用することもできる。

同システムにより、米国では平均で走行距離を15%削減、稼働率を20%向上、配送遅延を最大で80%解消した実績があるという。走行距離を削減することで、CO2削減にも貢献できるとしている。