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みずほ、システム障害の再発防止策。ATMのカード・通帳を返却する仕様に

みずほフィナンシャルグループとみずほ銀行は、2月28日から3月12日までに断続的に発生した一連のシステム障害について、現時点で明らかになっている課題と、再発防止策の対応状況を公開した。

一連の障害は、ATMみずほダイレクト、及び外為等取引で発生していたもの。2月28日のATM障害は、「定期制のデータ移行時の一部メモリ容量オーバー」が原因とし、最も被害件数が多かった。定期制取引が不能(469件)になったほか、4,318台のATMが停止。カードや通帳が取り出せなくなるトラブルが5,244件発生した。

この日は、「みずほe-口座」移行に伴う未記帳切替45万件と、月末定期性預金25万件の集中記帳を実施。取引量がピークになる月末であったことから負荷が増大。移行に伴う新システムについても、テストが不十分だったことから、メモリ容量の確認ができていなかったという。障害は原因特定に約7時間を要し、ATMからカードなどを取り出し、再稼働する作業が長期化した。なお、取り出せなくなったカード・通帳は、全5,243件を利用者に連絡のうえ返却完了している。

3月3日のATM障害では、「ネットワーク機器故障による瞬断」を原因とし、ATM29台が停止。カード・通帳の取り込みが発生し、宝くじが7件が不成立となった。

3月7日のATM障害では、「カードローン関連リリース時のプログラム不良」を原因とし、プログラム更新時にエラーが発生。同一プログラムを用している総合口座定期預金の集中記帳でエラーが発生し、同口座への入金処理が一時的に不能になった。これにより、みずほダイレクトを通じた定期預金入金取引が9件不成立となった。

3月12日には、「統合ファイル授受基盤にかかる機器故障+バックアップへの切替不良」を原因とし、外為等の取引へ影響。国内他行向け仕向外為送金遅延が263件発生したほか、被仕向外為送金到着案内遅延が761件発生した。

同社ではこれらの経緯を受け、再発防止策を発表。システム面では、新勘定系システム「MINORI」および周辺システムも含めたシステム全体の安定稼働を確保する必要性から、機能強化、人員強化により、組織全体として対応力の向上を目指す。具体的には、ATM等の仕様改善により、原則、カードや通帳を返却する仕様に変更したほか、ネットワーク機器などハードウェア機器の交換・改修。メモリ使用率の警告方法改善など監視体制も強化。開発プロセスにおけるチェック体制を強化し、IT部門としての対応力を見直していく。

ビジネス面では、顧客への影響を速やかに把握し、影響を極小化するため、組織全体として多面的な障害検知・情報収集体制を整備。具体的には、緊急時の営業店による駆け付け体制の見直し(連絡手段や対応要員明確化)や、本部の危機管理体制を強化。SNSによる情報収集、共有も行ない、危機管理体制を整える。

今後は、多層的な障害対応力を向上し、顧客視点に立った目線をもちながら、システム部門、ビジネス部門を横断する形で堅固な「多層防御」の仕組みを構築。人事・危機管理体制の抜本的強化を行ない、「人と組織」を鍛え、組織力を強化していくとしている。