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シャープ、「3℃適温蓄冷材」で医薬品を定温輸送。待機時間不要
2020年12月24日 14:51
シャープとスギヤマゲンは、シャープが液晶材料の研究で培った技術をベースに新たに開発した「3℃適温蓄冷材」とスギヤマゲンの温度設計技術を組み合わせた医薬品向け「定温輸送容器セット」を共同開発。2021年1月5日にスギヤマゲンから発売する。
医薬品の輸送には、一定温度内での厳格な温度管理が求められ、検体・ワクチン・細胞などを輸送する際は2~8℃、血液の輸送には2~6℃の範囲内での定温管理が必要になる。一方、季節ごとの外気温による変動に対応するため、保冷温度の設定や蓄冷材の構成を変更するなど、医療・物流業界ではさまざまな工夫が行なわれている。
定温輸送容器セットは、新開発の「3℃適温蓄冷材」を使用し、2~8℃と2~6℃の両方の定温管理に適用できることに加え、季節ごとの保冷温度の設定や蓄冷剤の構成変更が不要となる。また、一般的な定温輸送容器で使用する蓄冷剤は冷蔵庫から取り出した直後は-15℃以下のため、蓄冷剤が適切な温度に上昇するまで1~2時間の待機時間が必要だが、定温輸送容器セットでは凍結庫から取り出した直後に「3℃適温蓄冷材」を容器内へセットできるため、大幅な業務効率化が可能。待機時間がなく、年間を通して同一運用ができる定温輸送容器セットは業界初。
本体サイズは340×260×340mm(幅×奥行き×高さ)。内容積は10L。重量は6.7kg。「3℃適温蓄冷材」CL-3-480:4枚(1.92kg)、「4℃グレード蓄熱材」TP-4-250:4枚(1kg)、Bio Box Cell(SBE-P10)、アルミ仕切り(SBE-p10-C)で構成される。
3℃適温蓄冷材は、シャープの社内ベンチャー「TEKION LAB」が、液晶材料の研究で養った技術を応用して開発した「適温蓄冷材」を使用したもの。適温蓄冷材は「-24℃~+28℃(開発中の温度帯のものを含む)で融け始める氷の状態で蓄冷できる」のが特長。3℃適温蓄冷材は3℃で融け、固体から液体に変化する。この時、周囲の熱を吸収することで材料自体だけでなく、周囲の空気や接触している対象物を特定の温度に保持することができる。