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コンテンツプラットフォームを目指すLINE。エンタメのDX
2020年9月11日 08:20
LINEは10日、新サービスやビジネス戦略を発表する「LINE DAY 2020 ―Tomorrow’s New Normal―」を開催。コロナ禍以降のエンターテインメントのあり方とLINEの取り組みを、同社取締役CSMOの舛田淳氏が解説し、音楽ディストリビューションサービス「SOUNDALLY」などを発表した。
音楽ディストリビューション「SOUNDALLY」を今冬開始
舛田CSMOは、コロナによるエンターテインメントへの悪影響について触れ、「いつか戻る。と待っていればいいのか? そんなことはない。エンタメの根幹は好奇心やチャレンジ精神、ある種の反骨精神からイノベーションが生まれる。こんなときだからこそ創造していかなければいけない。10年後振り返った時、2020年が日本・世界のエンターテインメントの転機、ニューノーマルの年になる」と述べ、「エンターテインメントのDX」を強化する方針を示した。
コロナ禍でも、NetflixやHuluなどの映像配信サービスが拡大し、LINEでもLINE MUSICが大きく成長している。それらを遥かに超える成長を見せているのが「ボーンデジタルコンテツ」と呼ばれる、YouTubeやTikTokなどの個人クリエイターによるコンテンツ。舛田氏は「LINEはこれらのクリエイターのためのコンテンツプラットフォームを担っていく」と語り、新たな音楽ディストリビューションサービス「SOUNDALLY」を発表した。
SOUNDALLYは、個人やインディーズで活躍しているアーティストの音楽を日本だけでなく世界に販売・配信できるサービス。LINE MUSICでも、個人が配信している楽曲の人気が高く、2020年7月の再生回数は2019年1月に比べ約530%伸張。メジャーに属さなくても「香水」(瑛人)など大ヒットタイトルが出てきている。
これらはYouTubeやInstagram、TikTok人気を集め、コピー・カバーされてチャートに入ってくるという関係ができている。このようなアーティストのためのプラットフォームとしてLINEを活用していく。
SOUNDALLYでは、LINE MUSICだけでなく世界の音楽配信サービスに楽曲配信可能。スマホだけで登録可能で、登録も無料、手数料も不要とし、音楽視聴に関する収益をすべて配信者に還元。2020年冬に開始する。
LINEのタイムラインからコンテンツを生み出す
また、LINEタイムラインのアップデートも発表。LINEユーザー6,800万人が使うタイムラインを一新し、クリエイターやコンテンツのための「タイムライン2.0」に刷新。いままでの友人との関係・つながりのためのタイムラインから、コンテンツをフォローするタイムラインに変えていく。
2020年3月に開始したディスカバーやフォロー機能もその一環とし、友だち以外のコンテンツを表示していた。ただし、コンテンツのプラットフォームとしては、「他のSNSよりも拡散しない」という課題があったという。
LINEタイムラインの改良では、この課題を解消する。タイムラインでどれだけ動画再生されたかなどを確認できる「分析」機能を導入するほか、「収益化」を可能にする。動画再生時に広告を表示、その再生数や再生時間などに応じて、クリエイターに収益を還元する。
さらに、タイムラインにコンテンツを投稿するため、個人のアカウントだけでなく専用のアカウントを使える「マルチアカウント」に対応。また、クリエイター自身が宣伝できるセルフプロモート機能なども搭載する。
LINE、タイムラインで「マルチアカウント」対応。収益化を支援
映画・演劇等のコンテンツや映画館・劇場のDXでは、松竹と協力。「松竹DXコンソーシアム」を設立。困難を迎えているライブエンターテイメントのDXにも取り組む。
「すごくやりにくかった」と長渕剛
ライブエンターテイメントプラットフォーム「LINE LIVE VIEWING」も開始。長渕剛とのオンラインライブ配信「ALLE JAPAN」では10万人以上のオンライン視聴者を集め、360度に囲まれたディスプレイに映る観客に向けて歌うなど新たなエンターテインメントに取り組んだ。今後はSKE48やOfficial髭男dismなどのライブも予定している。
最後にビジネスカンファレンスに初登壇という長渕剛と舛田氏が対談。LIVE VIEWINGについて、長渕氏は「ものすごくやりにくかった」と表現。拍手や声援などの反応がわからず、戸惑ったという。「なにを目標になにを提供すればわからなかったが、結果を見て『こういうことか』とわかった。僕らも新しい表現を求められている」とし、新たなチャレンジやアイデアについて語った。