キヤノン、移動ロボット市場参入。ロボットの「眼」を提供

キヤノンは、次世代AGV・AMR分野など移動ロボット市場への参入を発表。「移動ロボットの眼」となる、「Visual SLAM技術」を含む映像解析ソフトウェア「Vision-based Navigation Software」や、ステレオカメラなどのハードウェアを協業メーカーに提供する。第1弾は、日本電産シンポが発売を開始する自動搬送台車「S-CART-V」シリーズ。

日本電産シンポ「S-CART-V」

AGV(Automated Guided Vehicle)や、AMR(Autonomous Mobile Robot)は、物流倉庫などで利用される搬送ロボット。AGVは磁気テープなどを使用して決められたルートを走行するが、AMRはガイドが要らず、周囲の環境を検出して自律的に移動できるのが特徴。

従来のAGVや、ガイドレス方式で主流の2次元LiDARによるSLAM技術によるAGVでは、人が動き回ったり、モノが増減したり、刻々と状況が変化する現場では柔軟に対応することが難しかった。

Visual SLAMは、カメラを使って、撮影された映像から周囲の環境の3次元情報と、カメラの位置姿勢を同時に推定できる技術で、水平・垂直面の幅広い画角で撮影したカメラの映像データを使用するため、変化が多い現場でも高精度な位置姿勢を計測できる。

自己位置推定による移動軌跡

今回は、同社がMR(Mixed Reality：複合現実)の技術開発で培った技術を活用。周囲の静止物をマーカー代わりにする空間特徴位置合わせ技術を活用し、Visual SLAM技術を含む映像解析ソフトウエアを実用化した。

日本電産シンポには、Vision-based Navigation Softwareとステレオカメラやコントローラーで構成された映像解析システム「Vision-based Navigation System for AGV」を提供する。

今後は、Visual SLAM技術の展開の幅を広げ、「移動ロボットの眼」をAGV・AMRだけでなく、清掃、運搬、警備、点検、探査など、さまざまな用途で活用されるサービスロボットやドローンに搭載することを目指す。