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「明智光秀AI」とLINEで会話。14自治体が地域活性化に

自治体代表らが陣羽織姿で記念撮影

2020年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公・明智光秀をAIとして蘇らせ、地域振興につなげる試みが16日より始まった。明智光秀にゆかりのある14自治体が共同で設立した「明智光秀AI協議会」が運営。LINEが事務局を務める。

明智光秀AI。QRコードから登録して利用する

天正10年6月13日(1582年7月2日)、山崎の戦いで敗れた戦国武将・明智光秀をLINEのAIチャットボット化。岐阜県、滋賀県、京都府、福井県を中心に、光秀ゆかりの人物や地名に関する会話、観光案内、謎解きなどを楽しめる。サービス開始当初は約4,000パターンの会話に対応。さまざまな問い合わせや質問内容を学習し、最終的に約10,000パターンの会話に対応するよう改良を重ねていく。

AI監修は静岡大学名誉教授の小和田哲男氏が担当。明智光秀AIにより、観光客誘致・利便性向上など観光政策を推進し、各地域が連携しながら地域活性化につなげるのが狙い。

会話のイメージ
名所などの観光案内
謎解きのイメージ

参加自治体は、京都府福知山市、京都府亀岡市、岐阜県可児市、滋賀県大津市、岐阜県岐阜市、京都府長岡京市、滋賀県、岐阜県恵那市、京都府南丹市、京都府京都市、滋賀県近江八幡市、岐阜県土岐市、京都府京丹後市、福井県(加盟順)。

会場では、小和田氏が光秀について簡単な講演を行なった。同氏が以前監修したNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」では、主人公の直虎があまり地域を移動しなかったため、地方連携ができなかったという。今回は各地に光秀が移動するため連携が可能になると思ったそうだ。

静岡大学名誉教授 小和田哲男氏

「光秀の生涯は前半生、後半生とも謎が多く、本能寺の変を起こした事自体も謎。謎だらけの光秀」と紹介。光秀はそもそも出身地も確定しておらず、さまざまな説がある。最近では滋賀県のうまれという資料もあるが、大河では定番どおり美濃(岐阜)の国出身として描かれるという。

また、金ヶ崎の退き口(かねがさきののきくち)と呼ばれる戦いは、浅井長政に裏切られ窮地に陥った信長の撤退を援護するため、秀吉が殿(しんがり)に残って戦った手柄とされることが多いが、これに明智光秀も参加していたと言われており、今回のドラマでもそうしたシナリオになるようだ。

光秀は自分の領地には善政を引き、家臣に優しく、思いやりがあったことが残された手紙などからよく分かるそうで、部下思いの光秀が、人を人とも思わないところがある信長に我慢ができなくなったのが本能寺の変の引き金であったのではないか、などとも語った。

最後に同氏は、なぜ今光秀なのか、ということについて、「光秀は信長、秀吉、家康などの成功者とくらべると、今川義元、石田三成などとともに、失敗者、悪いものとして評されることが多いが、負けた人たちにも実績がある。それを世に出したい」と、独自の見解と延べ、「光秀の城や、光秀が保護した寺などを観光に結びつけ、光秀を見直していってもらい」として講演をしめくくった。