■自分自身のスタイルを守っていきたいと思っているだけ

 独自の視点を持って、神聖かつ純粋な愛を描いて行くのがブレイヤ監督の得意とする手法。だが、観る者によっては多少過激に写ることもある。この映画を苦手だという人が男性を中心に多いのも事実だ。「好きとか苦手とかいうより、痛い部分に触れられてしまったから痛みを感じる、そんな感覚なのではないでしょうか。確かにこの映画は男性の方が辛いんじゃないかなと思いますが。ただ、誰からも好かれる映画というのは良い映画ではなく、むしろ悪い映画なのではないでしょうか。映画は観る人それぞれの様々な感情を揺り動かす何かであるべきです」。

  これまで、ブレイヤ監督がこつこつと積み重ねてきた活動にやっと世界が追いついたとでも言おうか。多くの女性監督が社会を気にすることなく、自由に表現することのできる時代がやってきている。こんな流れを“母”なる表現者はどのように感じているのだろう。
「私は常にどんなことにおいてもチーフでありたいと思うので、私の後に多くの人達が続いてくれるといいなと思っています(笑)。おそらく映画の流れというものは、時代の中で必然的に生まれてくるものだと思います。今ある女性映画の流れも時代が必要を感じているのではないでしょうか。ただ、私の場合はテーマというよりも、スタイルが個性的なんです。私はこれからも自分自身のスタイルを守っていきたいと思っているだけです」。

 これまでも、これからも貫くのは自分のスタイル。30年以上にわたって社会の基礎、人間の根幹を見つめ描き続けてきた女性は逞しくもあり、それでいて包み込むような優しさにも溢れていて、まさに母親のような人物であった。



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